【d!】幼馴染と恋する方法【tn】

二人分の熱と気づかない ページ40

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"⎯⎯⎯幼馴染を、落とします"

"悪いけど、俺はお前を幼馴染以上には思わへんよ"

"本気で好きって言わせてやる"

"まずはお前が本気になったら？"


｢……な、によ。何されようが幼馴染以上に思うことはないって、そう言いたいの？｣


　この最近、今までにないくらい君のことを考えてた。どうしたら好きになってもらえるのかな。どうして私じゃだめなのかな。やっぱり君の隣は居心地がいい。私のこと、なんでも知ってくれてるから、なんて。

　どうして傍にいてくれてたの？ただの、幼馴染ってだけなのに。それ以上の関係は拒否してしまう癖に。意地悪で、突っぱねてばっかりで、口が悪くって、女の子に向かって猪なんて言って。なのに、なんで、なんで。


｢な、んで、｣


　そんな優しい顔で、私を見るの。


｢……けどな、やっぱり俺は二度も負けたくない。せやからお前がちゃんと思い出すまで認めへんよ｣
｢さっきから何言ってるのかさっぱり、だよ｣
｢そうやろな。別に急かす気はないねんけど、｣


　するり、左頬を撫でる彼の指先が横髪を掬ってそれを耳に掛ける。未だ触れ合ったままの額が熱い、近い、彼が柄にもないことばかりするせいだ。そう、それだけのこと、


｢そんな顔されたら早く、負かしたくなってまうやろ｣

｢〜〜〜っ！｣


　ど、んな顔、してるって？ いや、いい、知りたくない。どうせ情けのない顔だ。ああもう、何だって急にこんな、心臓に悪いことばっかり！

　喉を鳴らして笑う君の声が厭に熱を連れてくる。私ばっかりこんな縮こまって、情けなくって、くやしい。いつものように馬鹿にしてやろうと思っても上手く言葉が出なくて金魚のように口をはくはくとさせることしか出来なかった。


｢ああ、忘れるとこやった｣
｢んぶっ！？｣


　額が離れてゆく。それと同時にびたん、と彼の手が私の両頬を抑え、ただでさえ変な顔をしていたらしい私の顔をうりうりと潰しだした。


｢なにすっ、｣
｢んは、ぶさかわええな。もうドラマ始まったで｣
｢だっ、れがっ、変な顔に、させたと…！ ……かわいい、？｣
｢都合のええとこだけ聞いてんな、あほ｣


　最後にデコピンの土産を残し彼はそそくさとリビングへと戻って行った。こんなドキドキモヤモヤを残してドラマを楽しむなんて無理でしょ馬鹿じゃないの本当に本当に馬鹿！ けれど私の足も追いかけるようにリビングへ。

　鼓動は、鳴り止まない。



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