問題は分かっての通り ページ23
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｢グルッペンって私のこと好きなの？｣
｢朝からキツい冗談やめてくれ｣
｢エッ｣
朝から私の心を打ち砕くのはやめてくれ。びっくりしすぎて昨晩胃に流し込んだビールが逆流しそうになった。
いつも通りの仕事中。隣で真面目な顔して書類を眺めていたグルッペンに気がかりだったことを聞くと、この通り。プロボクサーの目にも止まらぬ速さの拳よりも速い残酷な否定が私を一撃で沈めた。あんまりだ。
｢だ、だって昨日、私のこと誘ったじゃん！あとトントンに寄越せだとかなんとか言ってたの覚えてるんだからね！？｣
｢気もないのに誘うのはお前の慣れた手口だろう。寄越せと言ったのは単にあいつを揶揄って八つ当たりしただけだ｣
｢……グルッペンってそんなキャラだった？｣
｢そうらしいな｣
こちらに一瞥もくれないまま淡々と返すグルッペンの隣でわたしは間抜けに口を開けたまま固まった。この男、傷心中の私を弄びやがったのか。
｢あーあ、グルッペンくんサイテー。ワンチャンあったり、なぁんて考えた私が馬鹿だった｣
｢……なんだ、お前。昨日は散々あいつの名前を喚いておきながら、俺とのワンチャンが欲しいのか｣
｢いや要らないけどさ。グルッペンくらいかっこいい男に気を向けられたら女として最高にポテンシャル発揮できてるーって感じするでしょ｣
｢意味が分からん｣
｢結構ですぅ。ほらほら、無駄口より手を動かしなよ｣
｢ほんま腹立つなお前｣
うるさいうるさい。グルッペンの声に耳を塞ぎ目の前の仕事に意識を移す。
グルッペンが私に友人以上の興味なんてないことくらい知っていたけれど、正直ほんのちょっとだけ期待してた。ああ、いや。付き合いたいとかそんなのじゃなくって、グルッペンほどの男に好かれたという事実があればトントンに言ってやれると思ったのだ。
私が君を落とせないのは、私に女としての魅力がないからってことじゃないってね。ふふん。……まあ、それは叶わなくなったけれど。
｢……A。お前、ほんまに忘れたんか｣
｢なにが？｣
じゃあ一体何が問題なんだ、中身が可愛くないってか。猪女だもんね。なんてひとりで悶々と頭を抱えていると、グルッペンが何やら煮え切らない表情でそんな問いを投げかけた。訳がわからず首を傾ぐと彼は｢……なんでもない｣とすぐに手元の書類へと視線を戻す。
言いたいことがあるなら言え。そう突っかかってみても、以降彼はもう私の言葉に聞く耳を持ってはくれなかった。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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