懐かしい場所 ページ7
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今日は、金曜日だ。いつもならこのまま呑みに行く流れだが、そんな気にもなれず帰る支度を済ませた私はグルッペンに不参加を伝えてから部署を後にした。
昨日の事があったからか、グルッペンは私を引き止めなかった。トントンはどうするんだろう。彼は午前中から外に出ているようで、お昼も顔を合わせていない。
丸一日トントンと話さないなんて久し振りな気がする。気まずさは確かにあったが、それが余計に寂しく感じられて、はあ、とため息を零しながらエレベーターを待っていた。
「お、Aやん。お疲れさん」
「お疲れ様です、Aさん」
「あ。お疲れ様、コネシマ、ショッピくん」
ふいに呼ばれた声に顔を向ければ、見慣れた二人が隣に並んでいた。
丁度やって来たエレベーターに一緒に乗り込み一階のボタンを押せば、「なあ、A」とコネシマが首を傾げて私を見る。
「お前、トントンと喧嘩したんか？」
「っちょ、ほんまデリカシーの欠片もないっすねあんた……」
「やって、噂になっとるし」
「ち、違うよ。喧嘩なんてしてないって」
やたら周りの皆がこそこそしてるなとは思ってたが、成程そういう事だったか。確かに昨日のあれじゃ、喧嘩したと思われてもおかしくないかもしれない。
「やたら顔が暗いし、どーせまだ仲直りしてへんのやろ」
「だから喧嘩じゃないって」
「せやから呑みいくで。トントン、外で渋滞捕まって来られへんらしいし」
「は、！？いや、私今日は帰るから、」
「Aさん、こうなったらもうこの人話聞きませんから」
私の話に一切聞く耳を持たないコネシマがガッチリと私の腕を掴む。エレベーターの扉が開かれ、ぐいぐいと私を引きずる彼に「待って！」と声を上げても、ショッピくんの言う通り足を止めてくれる気配がない。
「ちょ、コネシマ…！」
「ええか、A。暗い顔ばっかしとると、嫌な方にしか考えられへんくなるで」
「…や、別に暗くなんて、」
「あいつらとおったら少しは笑えるやろ？せやから、一旦忘れてまえ。そんでまた明日考えたらええねん。お前にそんな顔、似合わんわ」
な？と歯を見せて笑うコネシマに言い返せなくなって口を結ぶ。喧嘩なんてしてないし、昨日ちゃんと話もした。私は前向きに考えていた筈だけど、なあ。
結局強引なコネシマの手から逃れられず、渋々彼らと共にいつもの場所へと向かう事になってしまった。
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夜狐 - んもう好き……() (2021年7月3日 14時) (
レス) id: 587d00a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさん、まさかの周回ありがとうございます…！完結から日の経った今でもこの作品を読んでいただけていることが心の底から嬉しいです…！；；；； (2020年12月27日 1時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 再び読みにきてもう、やっぱり好きです (2020年12月20日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 宙さん» 宙さん、コメントありがとうございます〜！タイトルの意まで気づいていただけでとっても嬉しいです；；；；最後までありがとうございました！ (2020年9月2日 21時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 神作。なんて素敵な終わり方なんだあ！題名の意味3か4シリーズぐらいでもしかしてって思ったけど感動したーー！なんて素敵な作品なんだ！！ (2020年8月27日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
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