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赤に染め上げられた夢の中で、俺は呆然としていた。そんな事をしていたって何かを思い出す訳では無いのに、目に映る光景が容赦なく心を抉り、そしてまた俺は踏み出そうとしていた足を止めてしまった。
Aが背中を押してくれたのに、結局、だめだ。彼女の事を忘れたままでいい筈がない。帰らなきゃいけない。そう分かっているのに、身体が震えて記憶を拒絶する。
そんな無意味な時間をどれ程過ごしたか、正確には分からない。とても長かったような、短かったようにも思う。
ふと気がついた時には俺は夢から覚めていて、そして真っ暗な廊下に転がっていた。その異様な暗さにまさか、と慌ててポケットにしまいこんでいたスマホを見れば時刻は既に二十二時を過ぎており、しかし同時に目に入った彼女からの一通の連絡にほっと息をつかせる。
"コネシマに連行されたので遅くなります、ごめんね"その文章に今日金曜日か、と脱力し、返事をしてから風呂にでも入ろう、とのそのそ重たい身体を動かした。
シャワーを浴びても、どうにも眠気がおさまらない。鉛のように重たい身体は今朝と同じく酷い気怠さをまとっている。
明らかに異常を訴えている身体にどうする事も出来ず、取り敢えず明かりをつけてソファーに転がり込んだ。
「……A、はよ帰ってこうへんかな」
ぽつりと無意識に呟かれた言葉は冷たい部屋の空気にただ溶けていく。あんな夢を見たからか、無性に彼女に会いたかった。あの笑顔をもう一度見れたら、今度こそ、なんて先程の情けない自分を思い出してため息が零れる。
Aは前を向こうとしているのに、何で俺は。
＿＿＿ガチャ、と玄関の鍵が開く音がした。
その音にばっと身体を起こす。Aが帰って来た、と理解した時、途端に身体が軽くなったのを感じた。
今朝と、同じだ。急に元気になった身体に首を傾げつつも、それよりAを出迎えようとリビングの扉を開けた。
「おかえり、今日はちょっと早かっ……へ、？」
「……は？」
完全に、油断していた。開けた扉の先に見えた鮮やかな金色に、ヒュ、と喉が鳴る。
何で、グルッペンが？よく見れば、あいつの背中でAが眠っていた。……成程、酔い潰れてもうたんか。
じとりと俺を睨むその目に思わず肩をすくめ、それからこの状況をどう乗りきるか必死で思考する。幼馴染の振りをするか、全てを話すか、だ。
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夜狐 - んもう好き……() (2021年7月3日 14時) (
レス) id: 587d00a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさん、まさかの周回ありがとうございます…！完結から日の経った今でもこの作品を読んでいただけていることが心の底から嬉しいです…！；；；； (2020年12月27日 1時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 再び読みにきてもう、やっぱり好きです (2020年12月20日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 宙さん» 宙さん、コメントありがとうございます〜！タイトルの意まで気づいていただけでとっても嬉しいです；；；；最後までありがとうございました！ (2020年9月2日 21時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 神作。なんて素敵な終わり方なんだあ！題名の意味3か4シリーズぐらいでもしかしてって思ったけど感動したーー！なんて素敵な作品なんだ！！ (2020年8月27日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
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