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「じゃあまだ連絡取れないんだ」

「そう〜」


就寝前。

少し前に連絡が取れなくなったと聞いた降谷くんと諸伏くんの近況は相変わらずらしい。


「なーにしてんだか…あいつら」

「心配だね」

「まー、でも仕事に忙殺されてるんじゃね」

「研二を見てるとその可能性が一番ありえる」


鍛えられた腹筋を指でつつく。やはりびっくりするほど硬い。


「所属する場所によって仕事内容は全然違うけどね」


くすぐったいと笑いながら研二は私の手を取り指先に唇を寄せた。


「研二はどんな仕事してるの?」

「気になる?」

「んー…ちょっとだけ」


興味半分。研二を知りたい半分。


研二はあえて仕事の話をしないんだろう。言えないのか言いたくないのか。それとも他に理由があるのか。

今までは理解あるフリをして私も聞かなかったが、あなたのことをもっと知りたいと思っているんだよ。


そんな思いで研二を見つめ、目が合った。


「ヒミツ」


見慣れた揶揄うような笑顔のせいではっきりとはわからない。けれど、たぶん一線を引かれた。

それなのにあまり悲しい気持ちにならなかったのはひどく優しい声でごめんねと言われたから。


「仕方ないなぁ」


そんな優しい声で、表情で言われたら。甘んじて受け入れ、笑って、こちらが折れるしかないじゃないか。


「でも、いつかは話してくれたり…する?」


それでもやっぱり踏み込ませてくれないことが私は悲しいらしい。


いつかっていつだろう。私は何に期待しているんだろう。どうして研二は教えてくれないんだろう。


仕方ないなんて言っておいて、そんな正反対の思いが込み上げて来る。わかってるはずなのに、なんで、どうしてって、まるでごねる子供だ。


「…何でもない。寝よう」

「A」


突然腕を引っ張られ抱きしめられた。


「ここ」


左手の、薬指の付け根に研二の指先が触れる。


「…もう少し待ってて」


そう言って布団に潜った研二と、一瞬で過ぎ去った目の前の出来事に呆けてしまった。

そして一拍遅れた頭で短絡的に弾き出た結婚の二文字。


結婚したら話してくれるの?というか結婚を考えているの?もう少しっていつ?そもそも示唆したのは結婚で合ってるの?


一気に押し寄せる合ってるかもわからない予想に顔が熱くなる。


「研二」

「寝てます」

「研二」

「寝てます」


言い逃げしてあまつさえ布団に篭城する研二に聞こえるように


「…仕方ないなぁ」


笑ってそう返事をした。

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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時

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