【ωrωrd!】かれのひみつ。

△＊ ページ24

「でも、誰かに着いていってもらった方が安心だろ？」
「煙草に詳しい人でしたらね」

この人にもこの人なりの考えがあったようだが、深いところまでは達していなかった。やっぱり酔ってる。
グルッペンさんがすぐに酔いが回ってしまうのは、この人とお酒を共にしたことのある人は皆知っていることだ。

「なら俺が着いて行こか？」
「刺されかねないので……」

失礼だがメンヘラホイホイの鬱さんといるところを他の女性に見られたら終わる。私の命が。今でこそ本人も丸くなったそうだが、リスクはあまり負いたくなかった。

「じゃあショッピに選んでもらおう」
「はい？」

グルッペンさんは正常な思考が出来ていないのか、突飛なことを言い出した。微妙な表情を浮かべた鬱さんが言う。

「確かに一番欲しいものを確実に買えるけど……」
「あまりサプライズ性がなくないですか？」
「本人に渡すことを伏せとけばいいだろ」

面倒になってきたのか雑になっている。

「大先生なんて普段からやってるやろ」
「そんなん昔の話や」
「やってたんですか」

慣れていそうだとは思っていたが、本当にやっていたとは。

「やったことあるならそれでいいだろ。教えてやれよ」
「女の子と男がやるのじゃ全然ちゃうねん」
「ちなみにどうやるんですか」

説明によると少女漫画でよくある女の子が欲しそうに見ていたものをこっそり買って渡すやつらしいが、私がそれをできるほどのスキルはない。

「なら贈り物とは言わず自分用の体で選んでもらえ」
「俺的にはプレゼントであることは伝えておいて、誰に渡すか黙っとけばええと思う。ワンチャン焼きもちでも妬いてくれるかも知れへんやろ？」
「流石女を食っては捨ててきただけあるな」
「なあ、もうそれやめへん？」

鬱さんの恋愛テクニックには舌を巻かれるものもあるが、駆け引きが上手な人だからこそできるようものばかりな気がする。
というか、グルッペンさん酔いすぎではないか？ 心なしか表情が緩んでいる。

「雪村はどっちがいい？」
「えっと、鬱さんの案ですかね……？」

女性と男性では煙草の好みが違うらしいし、私が煙が苦手なことはショッピくんも知っているはずだから、怪しまれるだろう。

「そうか……」

少し拗ねたような顔をするグルッペンさん。普段の堅苦しい雰囲気のないグルッペンさんは、どこか可愛らしい。

「成功するといいな」

無邪気な笑顔を浮かべた彼にも、人間らしい一面があるのだと思ってしまった。

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