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履いていた靴を脱いで、打ち寄せる波に足をつける。
ざざーん、と波の音に耳を傾けながら、真一郎と一緒に並んで歩く。
「冷たくて気持ちいい……」
「転ぶなよ」
「大丈夫だって」
ぱしゃんっ。
足で波を蹴り上げた。
「そういや前にも、こうやってバイクで海来たな。あん時は昼間で、人もいっぱいいたけど」
「高校の時ね」
「ああ」
「あの時、地元の不良に絡まれて大変だった。漫画とかなら、カッコよく絡んできたやつ、返り討ちにしちゃうのに」
「あん時はオレもガキだったからな」
そう言って真一郎はポケットから取り出した煙草に火をつけた。
「早死にするよ」
「お前残して死ぬわけないだろ?」
「……それって、年寄りになっても一緒に居てくれるって事?」
「ま、そんなトコ」
「ふーん」
の、割には全然プロポーズしてくれないじゃん。
なんて口が裂けても言わないけど。
あたし、思ってても絶対真一郎に言わないタイプだったり?
いやそんな事ないよね。
もし真一郎がプロポーズして来たら、結婚する?
あたしと真一郎が?って考えちゃう。
「A」
「んー?」
「好きだぜ」
「キザっぽいセリフ。海の雰囲気に呑まれてない?」
「呑まれてねーよ。本心だっつーの」
「そう言う事にしといてあげるよ」
ふわりと香る煙草の匂い。
真一郎の匂いだ。
海の匂いが混ざっててもよく分かる。
「なあ、やっぱり」
「行かない」
「まだ言ってないんだけど」
「言おうとしてる事は分かるから。行かない」
「いつになったらオレら一線超えれんの?」
「さあ、いつだろ。真一郎はそんなに超えたいの?」
「そりゃそうだろ」
「ふーん」
「ふーんて」
もうちょっとカッコよく誘って。
なんて、我が儘が過ぎるかな?
真一郎は乙女心が分かんないから難しいか。
「A」
「ん?」
唇に柔らかいものが触れる感触。
「今日はこれで我慢、な」
「………どこで覚えて来たの、こんなの」
唇に触れたのは真一郎の唇で。
暗くてよかった。
たぶん今のあたしの顔、真っ赤だから。
「どーせ少女漫画の受け売りでしょ?」
「おいおい、そんな事言うなって」
「バーカ」
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ピアノ - 完結おめでとうございます!もう、真兄推しの私にとったら泣けて最高のお話でした!これからも頑張ってください! (2021年10月10日 10時) (レス) @page49 id: 68f7274f2c (このIDを非表示/違反報告)
ルイにゃ - 完結おめでとうございます とても泣ける話でした (2021年9月29日 18時) (レス) @page49 id: c326ad8a0b (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 完結おめでとうございます!これまでに無いハッピーエンドです....真一郎くんが起きた時はもう...全私が喜びましたwこの作品に出会えて良かったです^^* (2021年9月29日 3時) (レス) @page49 id: 849fa7e773 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメと昆布って似てね? - 完結、おめでとうございます!原作が辛くて辛くて仕方なかったけど、この作品に出会えて本当よかったです!2人の結婚式とか結婚式のスピーチのお話が見たいです!できればでよろしいので書いてもらえたら嬉しいです! (2021年9月28日 22時) (レス) @page49 id: 293adefca4 (このIDを非表示/違反報告)
43(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白くて、一気に見ちゃいました!幸せそうな夢主ちゃんを見れてよかったです!! (2021年9月28日 16時) (レス) @page49 id: abf6fd2177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴんぞろ | 作成日時:2021年9月15日 0時