【東リベ】早く起きろよ、バーカ【真一郎】

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イザナの目の前に立ち、あたしはイザナを抱きしめた。


あたしが来る前に万次郎と殴り合ったのか、特攻服に所々血がついていたりと、少し汚れていた。





「エマは助かったよ」


「！」


「まだ油断は許さない状態だけど、ひとまず一命は取り留めた。だから帰ろ、エマんとこ。みんなで。真一郎も待ってる」


「…………」


「真一郎も起きたよ」


「！！」


「色々言いたい事、あるでしょ？なら直接、真一郎にいいなさい。そんでもって、殴ってやんなさいよ。気の済むまで話し合って、殴って、そんで最後にはちゃんと、仲直りしなさい」





幼い子供を諭す親の様に。


それくらい分かりやすく、優しくあたしはイザナに話しかけた。





「オレ………」


「うん」


「家族が………兄弟が」


「分かってる。大丈夫」





ぽんぽんと優しくイザナの背中を叩き、なだめる。


今は色々言いたい事が頭の中でごちゃまぜになってる状態。


落ち着いたらゆっくり話せばいい。


話し合えばきっと分かり合える。





「万次郎も、いいね？」


「……Aがそうしたいなら、いい」


「みんなで戻ろ、病院。真一郎がエマについててくれてる。エマが目を覚ました時、みんな一緒にいたらエマ、驚くよ」


「うん……」





ﾊﾞｧﾝｯ！





「「「！？」」」





ドクドクと熱が集まる。





「A………？」


「ゔっ……」





はあ、はあ、と、息が荒くなった。


立っていられなくて、膝から地面に崩れ落ちた。


背中の下の方が痛くて、痛い場所に手を当てると、手が真っ赤に染まっていた。





「どいつもこいつもジャマばかりしやがって……」


「稀咲………てめえ！！！！」


「A！！！！」





血相を変えて駆け寄ってくる万次郎。


イザナは何が起こったのか分からないと言った表情で、あたしを抱きかかえてくれた。


しばらくして、あたしは銃で撃たれたんだと気づいた。





「ケンチン！！」


「分かってる！！」


「だい、丈夫……」


「どこが大丈夫なんだよ！？撃たれたんだぞ！！」


「……はあ……はあ……。救急車、呼んで……あと、止血……押さえて…………」





クッソ痛い。


銃で撃たれるって何、あたし死ぬの？


だってやっと、真一郎が目を覚ましたんだよ。


二年間も寝てた真一郎が、やっと。


やっとまた、前みたいに真一郎とバカやって、笑えるって。





「しん、いちろ……」

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