モトカノ依存症【吉沢亮】 (ページ2)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:157,672 hit

episode2 ページ2

高校に上がる頃に祖父母が他界した。
二人は結構な遺産があったらしく、そのことは母親も知らなかったそうだ

母親はパートを辞め、遺産で大きくて白い家を建てた

前に住んでいたアパートよりずっと広い
だけどずっと居心地が悪かった

ミカ:亮の家大きい～これ隆と私住んでもまだ部屋余りそうだね

唯一女友達といえば小学校からの幼馴染のミカぐらい

異性として意識したことはなく隆と変わらず大切な存在
いつも話の中心にいて気さくで明るい。無駄に
3人とも見事に同じ高校に合格した

神木:亮はなんか部活入んないの？

中学まではサッカー部に所属していたが高校で部活はしなかった
その頃の俺は中学の時よりも冷めていたと思う
熱くなって何かに熱中することを内心馬鹿にしていた

なんとなく。本当になんとなく生きていた

高校は中学よりも自由だと思っていた
実際に毎日同じ日の繰り返し

勉強だけは裏切らないと進学した兄が言っていた
休まずに学校に通っていたのも早くあの家から出たかったからだ

神木:亮、今は彼女いないの？
『高校入ってからいない』

高校に入っても告白されることは頻繁にあった
だが中学の時のように誰かと付き合う気にもなれなかった

ミカ:亮ちょっと怖そうって他のクラスの子言ってたよ
『怖そう？』
ミカ:いつも不機嫌そうじゃん

人から言われて初めて気付いた
トイレの鏡で自分の顔を見つめて不機嫌そうだと

…やっぱ似てんのか。

思い出せもしない父親は自分にそっくりなんだろうか

家の中で母親と顔を合わすことは殆ど無い
お互いに避けているからなのは分かっている

神木:…ん？
『何』
神木:いや、なんか…なんか見られてる気がして

思えばそう
彼女に出会うまでの高校生活は同じ日々
昨日と今日が入れ替わっても気付かないような毎日

そんな毎日が突然終わりを告げた日だった

彼女と初めて出会ったのは

"あ～今年も貰えずに終わりそうだわ…"
"俺も～"

バレンタインデーの日は雪がよく積もっていた
窓の外は真っ白な世界。教室では暖をとるように固まり昼食に喉を通すクラスメイト

"はい、吉沢君の"
『あーありがとう』

義理チョコを配る子もいれば手作りを持ち寄って菓子パを始める女子
去年と変わらない教室をぼんやりと眺めていた

"お？吉沢？吉沢ー"

一人の男子生徒が教室のドアの前で何やら女子生徒に呼ばれていた
そして俺が呼ばれた