カフェホリック男子 [桃]

もしかして ページ44

その後も少しずつ、少しずつ
小瀧望はケーキを減らして行き

ようやく全部食べ切った




「姉ちゃん以外のガトーショコラ久々やったわ。
それも姉ちゃんのより美味い」

「それは失礼でしょ」




「じゃあ、姉ちゃんには内緒で笑」



しーっ、と唇に人差し指を当てる小瀧望に
私もしーっ、とやり返して

2人でふふっと笑った






この後小瀧望に本当に
ガトーショコラ6切れを要求されて

今はケーキ箱に入れたのを大切そうに抱えている




「おかんとおとんに1切れずつあげて、
残りは俺1人で食べんねん！」

「太るよ？笑」



「んなんその分運動するわ、神ちゃんと踊りまくるし笑」

「ってか、甘い物のことになると
急に無邪気になるんだね？」


「あれ？いつも無邪気なつもりやってんけど」

「無邪気な人は自分のこと全知全能とか言わないから」




「はぁーあ。俺、最初ほんまにお前が悩んでる思ったのに笑」

「ううん、どうやって渡すか考えてただけ笑」





「ほんま…ありがと。めっちゃ嬉しかった」



「ううん。…お誕生日おめでとう」





「…ありがと」



どこか照れ臭そうにニコッと笑って
小瀧望は店を出て行った






あれから私が後片付けをしていると
不意にスマホが鳴る




写真が2枚添付されていたメッセージ



1枚は、食べる前に撮っていたケーキの写真



＞姉ちゃんにも送るわ

＞きっと妬くで笑





そして、もう1枚



「…いつの間に」




そこには自分も見たことないほど楽しそうで幸せそうに
イチゴに包丁で細工をしている私がいた




＞この写真のお前、めっちゃええ顔してるな

＞かっこよかったで




＞お陰様で最高の誕生日になりました




＞ほんまにありがとう、また作ってな






「…"ありがとう"って言い過ぎだから、ほんと」



思わずこぼれてしまった独り言





それと同時に、迷わず私が作った方を当て
目に焼き付けるかのようにじっくりとケーキを鑑賞する時の

小瀧望の嬉しそうで照れ臭そうで、
でもどこかふわっとした笑顔を思い出す




『んー…何でやろな。
こっちの方が、女の子が作りましたって感じする』





女の子、か。


小瀧望は、
私のことを女の子として見てくれてるの？





じんわり温まる身体


今日の小瀧望のことを考えるだけで
自然とほころぶ顔









何だ、だからこんなに悩んでたんだ。








私、小瀧望のことが



好きになっちゃったんだ。







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