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「え、は……」
『ドンヒョク、逃げなきゃ、はやく！』
「お前はなんで平気そうなんだよ！」
全然平気じゃない、平気じゃないけど、もしも何かあったら人がいるところまで逃げろってテヨンくんに言われたから。追い付かれるかもしれないけれどとにかく少しでも人目に着くところまで走るんだ、って。頭では分かってるけれど足がすくんで動けなくて、ドンヒョクは椅子から立ち上がることすらできないようだ。「珍しく客がいたのか」とスーツの男は笑ってるから、お客さんがいないのは今日だけじゃないんだって呑気に思った。
「まだ若いのに、可哀想にな」
黒く丸い筒が私とドンヒョクに向けられ、今までの思い出が一気に頭に流れてくる。走馬灯ってやつなのかなあ、なんてその筒を見つめていたら「ちょっと目閉じてて〜」と朗らかな声が聞こえてからすぐに乾いた音が数回して、そしたら、私に銃を突き付けていた男が倒れてきた。それはドンヒョクの前にいた男も同じのようで、そっちは足を抑えてもがいている。
『………………あ』
手には生暖かい赤がべったりと付いていて、鼻の奥にはツンとした。……『血だ』どうしよう、制服が汚れちゃう。あの頃のようにマークに謝ったら、気にしなくていいよって、マークはまた笑ってくれるだろうか。
1人の男を引きずって現れた人物は、猫のような豹のような鋭い目をした男。一難去ってまた一難とはこういうことなのか……ドンヒョクは頭を抱えて「なんだよこれ」とぼそぼそ言っている。あの状態じゃ逃げることさえ…さすがにドンヒョクは抱えて行けないから諦めるべきなのかなって、私の前にしゃがんだ男に『ころすの？』と尋ねたら数回瞬きをして「まさか！」と笑い、男を蹴って私の上からどかすと、スーツの胸元からハンカチを取り出して私の手についた血を拭いた。
「……やっぱりヒョンの勘は正しかった」
『ヒョン？』
「うん、僕ね、ヒョンに言われてこの組織に潜り込んでたんだよ。こいつら同じ組織なんだけど、派閥争いがすごくて揉めてる最中みたいで、その間に潰そうって…あ、こういうこと話しちゃだめなのかな」
『…………あ、の』
「僕はテン。テヨンイヒョンの、後輩？」
『テヨンくんの？』
「うん。後輩っていうか支部の……はあ、ヒョンに何て言おうかなあ」
テンさんは、ドンヒョクに着ていたスーツを掛けると、うんうん唸りながらスマホを耳に当てた。
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くるみ(プロフ) - とっても面白くて、すぐに読み切ってしまいました！続きを楽しみに待っています♡ (1月20日 18時) (
レス) @page50 id: 69d5710b46 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 過去一好きなお話でした！続編をお待ちしております^_^ (12月11日 1時) (レス) id: 62cc5adb96 (このIDを非表示/違反報告)
Lily - ほんとに面白いです、お話の作り方がとても素敵で、何度も見返してしまいます☺︎ (7月29日 23時) (レス) id: 530821bf39 (このIDを非表示/違反報告)
しちゃん(プロフ) - 展開も言葉の紡ぎ方も、私のドクストライクです♡こちらの作品すごくだいすきなので、この先の更新を楽しみにしています♡ (2024年6月21日 20時) (レス) id: a441c60bfa (このIDを非表示/違反報告)
cafe(プロフ) - ハラハラしつつも、日常の中に見えるクスッと感がたまらなく好きです！（個人的にドヨンの溢れ出る主人公への愛とジェヒョンの静かなシスコンの対比が大好物です笑）。筆者様のペースでこれからも更新頑張ってください！続きも楽しみにしています。 (2024年5月4日 18時) (レス) @page30 id: 509f3fa889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴおん | 作成日時：2024年3月19日 8時
