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『いったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
「うるさいですよ。声が大きいです」
『それ、酷くないですか。私に何か恨みでもあるんですか。優しさをちっとも感じなかったんですけど』
「…………………優しさたっぷりですよ」
『絶対嘘だ』

未だにドバドバとかけられる消毒液に、久しぶりに涙が出そうになる。
やばいやばい。すごく痛い。
小さい頃によく転んでた私、よくこんなのに耐えてたわね。

「……すみません。やりすぎました」
『え?』
「泣かないでください。僕が悪かったです」
『………っ』

いつのまにかたまっていた涙を、安室さんが優しく拭った。
一瞬だけ絡む目線。
安室さんの目は綺麗な青色で思わず見惚れた。

「ははっ。また真っ赤になってますよ。可愛いですね」
『なっ、かわっ!?』
「足を引っ込めないでください。まだ消毒は終わってませんよ」

引っ込めようとした足に再び安室さんの手が触れる。
その手は優しくてさっきとはまるで別物だった。
………なんだ、優しいところもあるのね。

一通り手当てが終わり、コーヒーをひとつ、梓さんに注文した。
梓さんに注文したの。
ここ重要よ。

数分するとコーヒーが出来たらしく、梓さんが持ってきてくれたのでそれを飲む。
あぁ、完全に会社に遅刻ね。
また上司に小言を言われるわ。
でも、梓さんという可愛い人に会えたし、良しとするか。

「…コーヒー、美味しくなかったですか?」
『え?』
「表情が暗かったので、コーヒーが美味しくなかったのかなと思いまして」
『いえいえ。全くそのようなことはないです。とても美味しいです』
「それなら良かったです」

ふわりと笑う安室さん。
こうやって女性を落としていくのか。なるほど。
モテる男は笑顔ひとつで女性を何人も落とせそうね。

「そういえば、お名前を聞いてませんでしたね。僕は安室透です。ポアロの店員と私立探偵をしています」
『藤森Aです。OLです』

私立探偵なんてすごいことしてるのね。
さすがイケメン。やることが違う。

「そのコーヒー飲んだら呼んでくださいね。送っていきます」
『え?本当におくってくれるんですか?』
「そうですけど…。何か不都合でも?」
『いえ、どちらかというと好都合です。まさか本当おくってくださるとは思わなくて』
「…自分で言ったことはちゃんとしますよ」
『へぇ、意外』
「………」

ジロリとこちらを見てくる安室さん。
私は思ったことを言っただけよ。そんなに怖い顔をしないでよ。

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はりねずみ。(プロフ) - 由羅さん» 神だなんてもったいないお言葉です……!ありがとうございます! (2020年3月15日 17時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
由羅(プロフ) - 神、神ですね……神としかいいようがないです (2020年3月10日 14時) (レス) id: a829207c12 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - 笑々さん» ありがとうございます!!笑っていただけて嬉しいです!私自身、そんな感じの会話が大好きなので、安室さんたちにもやってもらいました笑 ありがとうございます! (2019年10月10日 23時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
笑々(プロフ) - 名前を呼ばせるところで、早すぎだろなんか腹立つな は声をあげて笑いました笑 ありがとうございます笑 (2019年9月23日 10時) (レス) id: f052978bd7 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - ここねさん» きゃー!ありがとうございます!!とても!すごく!本当に嬉しいです!!続編でも面白さとキュンキュンを追求してお話を進めれるように頑張りますね!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 17時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2018年12月12日 7時

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