安室透の前で盛大にこけるところから始まる話

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「Aじゃないとこんなことしない」
『……』
「ダメか？」
『………透は、私のことが好きなの？』

その問いに対して、悲しそうにふっと笑う透。

「好きだよ」
『っ……』
「でも君とはつきあえない」
『………』
「俺には君とつきあう勇気がないんだ」

チラリと見た透の顔はどこか苦しそうで。
その表情にぎゅっと心臓がつかまれたような感覚がした。

『…私も好きよ。透のこと』
「………」
『でもね、私もあなたとはつきあえない。私も透と付き合う勇気がないのよ』
「…そっか。同じだな」
『…同じね』
「じゃあ、キスしていい？」
『うん。………うん？』

ニコリと笑った目の前のイケメン。
じゃあって何よ。じゃあって。
どうしてそうなるのよ。おかしいでしょ。

『待って。おかしい。絶対そういう流れじゃなかったわよ今の』
「うんって言っただろう。異論は認めない」
『ひどい！！今のは不可抗力よ！！』
「はいはいわかったもう黙って」
『絶対わかってな、んぅっ』

頭の後ろと腰を支えられ、透を押してもびくともしない。
待って待って。嘘でしょ。待って。離れて。くるしい…。息がもたない。

『ちょっ…待っ』
「ん…」
『っ……』

本当に待って。
やばい嘘でしょ。透、めっちゃキスうまい。
ダメよこれ以上は。流される。

小さな抵抗としてバンバンと背中を叩くが、止まる気配は一向にない。
もう無理。何これ。こんなキス知らな…

ガチャ

「………」
『………』
「………ごめんなさい。ごゆっくり」

ドアを開けたのはコナン君。
嘘でしょ。待って。違うの違うの。いや、違うことないんだけど、違うのよ！

『待ってコナン君、閉めないで！！』
「大丈夫だよ。昴さんには言わないから」
『それは良かった…。って違う！！全然大丈夫じゃないわよ！！』
「それじゃあAさん、怪我の手当てをしましょうか」
『なんで安室さんはそんなにちゃっかりコナン君の隣に立ってるんですか！裏切り者！！』

いつのまにかコナン君の隣に立ってる安室さん。
いつ移動したのよ。瞬間移動をしないでよ。

「さぁ？何のことかわかりませんね」
『うわ、出たよ。ベビーフェイスロリコンイケメンの僕は何も知りません作戦』
「うるさい。俺はロリコンじゃない」
「ねぇ、なんで2人ともそんなにびしょ濡れなの？」
『安室さんのせいです』「Aさんのせいです」
「……仲良しなんだね」
『「断じて違う』」
「………」

呆れた目で見てくるコナン君。
やめて。お姉さん、超悲しい。

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