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いつも通りの会話を終えて、二人並んで夜の道を歩く。
周りにはライトアップされたお店や木々。
それを眺めながら歩いていると、ふと安室さんが立ち止まった。

『どうしたんですか?』
「いや、改まって言うのもいいかもしれないと思ってな」
『…何をですか?』

頭の上にハテナをとばしていると、安室さんはふわっと笑った。

「メリークリスマス」

その綺麗な笑顔に一瞬息をするのを忘れかけた。
なんだこのイケメン。
ここに来てさらに爆弾投下するとかやめてよね。
タチが悪いのは絶対安室さんの方じゃない。
いきなりそんな顔して言わないでよ。

安室さんはそれを言って満足したのか、固まって顔を赤くした私を置いて歩き始めた。
少ししてハッと意識を取り戻し、慌てて安室さんを追いかける。

『安室さん!』
「どうしました?」

にこやかな顔で答えた安室さん。
また敬語復活してるじゃない。
さっきまでついてなかったから、ちょっと嬉しかったのに。
あれはさっき限定ですか。そうですか。

少しムッとした私は、歩いてる安室さんの腕をグイッと引っ張って、安室さんの耳元で囁いた。

『メリークリスマス。透さん』
「……………は」

ピシリと固まった安室さんを見て、今度は私が満足して、るんるんと道を歩き始める。
いつも振り回されてばかりじゃ面白くないものね。
私だってこれくらいできるわよ。

しばらく歩いても安室さんが歩いて来る気配が全くないため、不思議に思って後ろを振り返った。
見えたのは、真っ赤な顔を伏せてしゃがみこんでいる安室さんの姿。
えっ。何あれ。すごい照れてる。
…なんだか可愛いわね。
いやいや、それよりも何これすっごく楽しいわ。
またいつかやってみようかしら。

ふふっと自然と笑みがこぼれた。
こんなクリスマスイブも悪くないわね。
鞄をぎゅっと持ち直して、未だにしゃがみこんでいる安室さんを眺めた。


〜おまけ(車の中)〜
『さっきすごく照れてましたよね?』
「さて?何のことでしょう」
『顔を真っ赤にして、道のど真ん中でしゃがみこんでたじゃないですか』
「まさか、ほどけた靴紐を結んでいただけですよ」
『あれは完全に照れてましたよね』
「照れてません」
『照れてた』
「照れてない」
『照れてた』
「…ちょうどそこに川があるので、この財布を投げ入れましょうか」
『ダメです。ダメだから。ごめんなさい。お願いだからその財布を持ってる手を下ろして。前見て運転してください!』

21【初夢】→←19



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はりねずみ。(プロフ) - 由羅さん» 神だなんてもったいないお言葉です……!ありがとうございます! (2020年3月15日 17時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
由羅(プロフ) - 神、神ですね……神としかいいようがないです (2020年3月10日 14時) (レス) id: a829207c12 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - 笑々さん» ありがとうございます!!笑っていただけて嬉しいです!私自身、そんな感じの会話が大好きなので、安室さんたちにもやってもらいました笑 ありがとうございます! (2019年10月10日 23時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
笑々(プロフ) - 名前を呼ばせるところで、早すぎだろなんか腹立つな は声をあげて笑いました笑 ありがとうございます笑 (2019年9月23日 10時) (レス) id: f052978bd7 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - ここねさん» きゃー!ありがとうございます!!とても!すごく!本当に嬉しいです!!続編でも面白さとキュンキュンを追求してお話を進めれるように頑張りますね!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 17時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2018年12月12日 7時

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