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涼しい顔で笑う安室さんをジロリと睨んでから、半熟ケーキをパクパクと食べる。
安室さんはポアロを閉じるため、戸締りや片付けを始めた。
そうやって黙ってたらかっこいいのに。
最後の一口をパクリと食べ終え、フォークを置いた。
気分は最高。
ぼっちクリスマスイブでも悲しくないわよ。
うん、悲しくない。
だって限定半熟ケーキを食べれたもの。
だから悲しくないわよ。悲しくないんだから。
ごちそうさまでした。と言って鞄をごそごそとあさり、財布を取り出して安室さんに声をかけた。
『安室さん、お会計をお願いします』
「えっ?もう帰るんですか?」
なんでそんなに驚いた顔をするのよ。
もう帰るのかってポアロの閉店時間になるじゃない。
客だって私1人だけだし。
私がいたら、ポアロを閉めれないでしょ。
『もう閉店時間になりますし帰りますよ』
「…そうですか。……よければ車で家までお送りしますよ?」
『えっ、何で急に優しくなってんの。さっきの減点したポイントを取り返そうとしてるんですか』
「どうしてそうなるんですか。この暗い中女性を一人で帰らせるほど、僕は残念な男じゃないですよ」
『やっぱり残念な男って言ったのを気にしてたんですね』
「ははは。そんなにお値段を倍にしてほしいですか?喜んでしますよ?」
『ハハハ。ウソデスヨ。アムロサンッテスゴクステキナダンセイデスヨネ』
「そうですよね。僕もそう思います」
『そこは嘘でも謙遜するところですよ』
無事に通常の値段でお会計を済ませて鞄を持つ。
そして安室さんに向き直って、クマを隠すためにファンデーションがぬられた安室さんの目の下をするりと撫でた。
『車で送ってもらわなくても大丈夫です。私を送るくらいの時間があるなら、しっかり寝てください。体調を崩されると私が困るので。ね?』
「っ……」
寝不足なら、私なんて送らずにしっかり寝るべきよ。
私を送ったせいで寝る時間が短くなって体調を崩したら合わせる顔がないし、なにより、元気がない安室さんと会話をしても楽しくないもの。
だから、帰ってゆっくり休んで。
「……まさか、またバレるとは…」
『私をなめないでください。視力は両目とも1.5あるんですよ。凄くないですか?』
「普通だろう。俺だってあるさ。自慢することじゃない」
『………俺って言った。敬語外れた…』
「!!?」
バッと口元を手で覆う安室さん。
無意識だったのか、安室さんも驚いた顔をしていた。
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はりねずみ。(プロフ) - 由羅さん» 神だなんてもったいないお言葉です……!ありがとうございます! (2020年3月15日 17時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
由羅(プロフ) - 神、神ですね……神としかいいようがないです (2020年3月10日 14時) (レス) id: a829207c12 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - 笑々さん» ありがとうございます!!笑っていただけて嬉しいです!私自身、そんな感じの会話が大好きなので、安室さんたちにもやってもらいました笑 ありがとうございます! (2019年10月10日 23時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
笑々(プロフ) - 名前を呼ばせるところで、早すぎだろなんか腹立つな は声をあげて笑いました笑 ありがとうございます笑 (2019年9月23日 10時) (レス) id: f052978bd7 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - ここねさん» きゃー!ありがとうございます!!とても!すごく!本当に嬉しいです!!続編でも面白さとキュンキュンを追求してお話を進めれるように頑張りますね!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 17時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2018年12月12日 7時