# 32 ページ32
.
「…はい。」
たった二文字。
いつもより掠れた小さな小さな声に乗って、
それは俺の元へそっと届けられた。
「っは、…？」
「ふふ、」
するすると俺の背中に回されていた腕が解けて、
くいっと俺の胸を押した。
俺と知念の間に少し距離が出来て、くりくりと俺を見つめる瞳と目が合わざるを得ない状況。
どこまでも澄んだ知念の目はまだ涙をたっぷり含んでいたけれど、さっきまでの悲しみに沈んだ目ではなかった。
それは…そう、笑っているときの目。
「…え、」
俺が思わず声を漏らしたのと、
知念の口角が上がったのはほぼ同時。
「ふふ、ばか。」
そう言って笑う知念の笑顔は、
俺をバカにしてると言うよりは、
なんだかすごく嬉しそうだった。
「ちねん？」
「最初っから、僕も好きだって言ってるでしょ？」
「え、っ、？
…え！？」
“っ、！…りょーすけ、すき。ぼくもすき…！”
名古屋よりも、もっと前。
一番初めに気持ちを伝えた日。
お酒のせいだとばっかり思い込んでいた、
珍しく歯切れの悪かった知念の姿が脳裏に浮かぶ。
あの時は、知念がまさか“ぼくもすき”なんて言うなんて思ってなくて、知念のすきと俺の好きは違うって、咄嗟にそう思った。
そして今の今までそうだと思っていた。
でも、もし、…もし！
同じ、だったとしたら？
「ちねん、」
ついさっきまで泣いていた知念は、
もうすっかりキラキラの笑顔だ。
その、世界の何よりも愛しくて、大切な笑顔が、
全てを証明していた。
「僕も好きだよ、りょーすけが。」
今度は知念から抱きついてきて、
2人の間の距離がまたゼロに戻る。
…ああもうほんとに。
その匂いも、体温も、爪の先まで全部。
好きすぎるんだ、知念が。
「遅ぇよ、ばか。」
「ばかはりょーすけだってば。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 307人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たいやき(プロフ) - めっちゃ良かったです〜！！（泣）個人的に１番最後のシーンが好きです(^o^)やまちねは最高ですね！！これからも頑張ってください！ (2019年11月1日 20時) (
レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - 恋桃さん» 最後までお読みいただきありがとうございました！！恋桃さんのコメント、とっても励みになりました（ ; ; ）きっとまたすぐ書きたくて堪らなくなると思うので、その時は是非読みにいらしてください！ (2019年4月10日 18時) (レス) id: c9b41bfb40 (このIDを非表示/違反報告)
恋桃(プロフ) - 完結おめでとうございます！！最後のシーンめちゃくちゃドキドキしながら読みました！！いつかまたりょんなさんのお話が読めることを期待してますね♪ (2019年4月9日 22時) (レス) id: 57441c0be9 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - 愉快@mokaさん» コメントありがとうございます^^全然神なんかじゃないですよ(>_<)でもとても嬉しいです、ありがとうございます(*´∀｀*)あと少しですが最後までよろしくお願いします！ (2019年4月8日 16時) (レス) id: c9b41bfb40 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - あひる☆さん» 最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです(*^^*) (2019年4月8日 16時) (レス) id: c9b41bfb40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りょんな | 作成日時：2019年3月31日 14時
