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「まぁまぁ、されるのが好きって言ってたら完全に調教済みですもんね。それはそれで良きだけど」

「君ってもしかして新手の悪霊?」

「なんで!? そんな事ないですよ! 私は本当にただの幽霊です! 生前からこんな感じでした!!」

「そうなの、周りの人も大変だったんだね」

花子くんは眉尻を下げ、半笑いで言い放った。
この少年意外と毒吐くキャラなの? めっちゃ受けに相応しいじゃん!! 好き!!



「まぁいいや。他には? 家族とか心配じゃないの?」

「家族は最初に様子を見に行ったので大丈夫です。両親は軽い怪我で済んだみたいだし、今は親戚の家に居候させてもらってるようなので」

「火事の原因はなんだったの?」

「詳しくは分からないですけど、ただの事故だったみたいです」

「……そっか」

「放火とかじゃなくて良かったです。両親が誰かを恨んでこれから生きるのは私が嫌なので」


花子くんがじっと私を見詰めていた。でも私はその花子くんの表情から何も汲み取ることが出来なかった。ただ、私はその顔で見られるのが妙に居た堪れなかった。


「ど、どうしたんですか……?」

私が聞くと、花子くんは少しだけ考える振りを見せて、またぱっと私と目を合わせた。


「(ミョウジ)は結構強がるタイプなんだ」

「なんですか……それ」

「別にぃ……でも、無理はしない方がいいよ。幽霊だからって、心が無いわけじゃないんだから」

花子くんはにこ、と目を細めて笑った。

その顔には、ただの少年にしては少しばかり複雑な感情が浮かんでいた。死ぬ前か後かは分からないが、きっと彼には普通に生きている人間じゃ経験することのない出来事があったんだろう。

よく考えてみれば、彼について色んな疑問が浮かんでくる。どうしてその若さで死んでしまったのか。どうして七不思議になってまでこの学園に留まっているのか。考えればいくらでも思い浮かんだ。ただ、それを彼に聞くのはあまりに不躾だった。自分でも考えてみたが、どう思考を巡らしても辛くて暗い過去しか想像できなかった。

とは言うものの、正直な話私自身、この状況をまだ受け入れられておらず、気持ちの整理もついていなかった。本当は怖いし、これから自分がどうなってしまうのか分からなくて不安だった。


「じゃあ、少しだけ……話聞いてもらえますか?」

「うん、いーよ」


花子くんはそう答えて、幼げな笑顔を私に向けてくれた。私よりも背丈の低い少年のその笑顔に、私は心底安心した。

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シズ - 見ながら爆笑してしまいました(笑) 続き楽しみです (2022年8月22日 2時) (レス) @page46 id: 7fbee373af (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - ニコさん» そう言って頂けて嬉しいです! 分かります! 土籠先生攻めいいですよね…ネタがあればまた書こうかなと思います! (2020年3月3日 7時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 好きです!個人的には土籠先生攻めも結構好きです (2020年3月3日 2時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 腐った人間さん» 自給自足の為に生み出したものなので、他の同士にも供給出来て嬉しいです! 正直この作品はノリだけが命なので、そう言って頂けて良かったです! 拙いですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年3月1日 16時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
腐った人間 - あ、好きですショタの供給ありがとうごさいます最高です()ノリがよくてすごく読みやすいです!これからも頑張ってください! (2020年3月1日 15時) (レス) id: a770919e54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:被苦人 | 作成日時:2020年2月10日 10時

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