【地縛少年花子くん】ショタコン、成仏できず。

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いつかの誰かが言ってた、花子さんの噂。

旧校舎3階女子トイレの3番目。呼び出し方はノックを3回。それから、


｢花子さん、花子さん、いらっしゃいますか｣


なんというｎ番煎じの決まり文句。そういえば小学校の時も同じような、というかほぼ同じ噂があって友達みんなでこれやった記憶がある。あの時、なんで周りに可愛い男の子が沢山いたのに、そっちには目もくれずあんな噂で盛り上がってたんだろう。不思議だ。

というか、私今花子さん呼び出して……。


ギィ……とトイレの扉がひとりでに動いて隙間を作った。ぬぅっと扉に掛けられた手。


｢はーあーい｣

次いで、“うらめしや”とでも言わんばかりの妖しげな声が響いた。しかし、私は聞き逃さなかった。


『少年の声！！！』

あぁ、もちろん心の中でですよ。こう言ったのは。


声に出して言うことは防げたが、私の体は言うことを聞いてくれなかった。
扉がさらに開かれようとする。だが私はそれを上回る速さで扉を掴み、無理矢理こじ開けた。


｢うわっ！！｣

驚いたような声をあげる少年。そう、少年がいたのだ。そこには、いたのだ！！！ 少年がっ！！！

｢黒髪……の少年……これは死んでしまった可哀想な私への神からのお恵みか……それとも死んでしまったことのショックで見ている幻覚……？ どっちにしろ私は今黒髪の可愛いショタを見ている……あぁ、なんという……私の性癖を具現化したような……｣

口元を抑え、涙目になりながらペラペラと喋り出す私を見る少年。

｢えぇ……なに怖い｣

少年は言った。ごもっとも過ぎて何も言えない。


｢すみません……えー、花子さん……でいらっしゃいますよね？｣

｢うん、そうだよ。花子くんって呼んでもいーよ｣

頷く少年。可愛い。頷いたときに揺れた前髪すらも愛おしい。ていうか何それ、そう呼んでほしいの？ もういい好きッ！！ いくらでも呼んであげる！！


そんなことより何？ 最近の花子さんは男の子なの？ なんで？ どういうサプライズ？ 私を喜ばせたいの？ 私得でしかないよね？ 私のためだよね？ その衣装は私の性癖を知った上で着ているものだよね？ じゃなきゃそんなどストライクなショタにはならんよ！！！

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