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...
初めてミケに会ったあの日から一ヶ月以上が経った。
あれから毎日公園に行って話をしている。
そして今日はあの日から五回目の雨。
雨なんて大嫌いだったのに、ミケと会ったのをキッカケに好きになった。
あの日の様に、頭上から聞こえてくる雨と傘がぶつかり合う音も、
一種の音楽として楽しんでいた。
今日もあの公園に向かう。
今日はどんな話をしようか。
毎日毎日ミケのことを考えている。
初めはただの友達だった。
これだけ毎日顔を合わせていると恋慕の情だって抱く。
でも、想いを伝えるつもりはない。
今の関係が壊れてしまうのが怖かった。
だから、今日も私は“友達”としてミケに会いに行く。
公園にはいつもの雨の日の様に傘をさしてこちらに笑いかけるミケがいる。
と思っていた。
しかし、そんなミケはどこにもいない。
傘もささずに俯いていた。
あの日のことを思い出す。
私は走った。
「ミケ!!」
ミケはゆっくり顔を上げた。
「どうしたの。傘は?」
私は自分がさしている傘をミケのほうに寄せた。
「だめだよ。それじゃAが濡れるでしょ」
「ミケも濡れちゃう」
「いいよ、おれは」
なにがいいのかさっぱりわからない。
「A、今日はもう帰ったほうがいいよ」
「なんで...」
「いいから」
なぜそんなに帰らしたいのか。
「...でも」
「いいから早く帰れよ!!」
初めて聞いたミケの怒った声。
怖かった。
だから従うほかなかった。
「わ、わかった。これ使ってね」
鞄から折り畳み傘を取り出して、ベンチの上に置く。
「ありがとう」
ミケは私が大好きなあの笑った顔でお礼を言った。
でも、どこか哀しげだった。
私は心配に思いながらも、ミケに背を向けて歩きだした。
この時の私は、雨にまぎれてミケが涙を流していたなんて知る由もなかった。
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雪 - おーーなんかすごいです (2016年8月25日 17時) (
レス) id: d885b7a670 (このIDを非表示/違反報告)
天宮叶(プロフ) - 読んでいくうちにとても引き込まれましました。全体的に透明感があって思わずうるっとしてしまいました。 (2016年2月27日 16時) (レス) id: ba642bc330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：被苦人 | 作成日時：2015年7月20日 19時
