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。。。 ページ3

...



「昨日は大丈夫でしたか」



そう尋ねる。



「はい。おかげさまで」




そう言って私もベンチに座るよう促してくれた。




ありがたく座らせてもらう。




腰を下ろすと、その人はおもむろに私が昨日貸した傘を差し出した。




「これ、ありがとうございました。本当に助かりました」




私はそれを受け取った。




「いえ、役に立てたのならよかったです」




するとその人はしばらく間をあけ、口を開いた。




「あの、名前を...教えていただけますか」





少し驚いたが、教えない理由もないので自己紹介をする。




「森山Aです。そんなにかしこまらなくてもいいですよ」



「あ...す、すみません」



なぜそこで謝る。




不思議な人だな。



見た感じ同じ高校生みたいだし。



一応確認を取る。




「高校生...ですか」




「え、あ、えっと...はい。に、二年です」



なにをそんなにオロオロしているのか。




「なんだ、同い年か。じゃあ敬語なしね」




「はい...じゃなくて、うん」





「ねぇ、名前は?」



「え、」



間抜けそうな顔をこちらに向ける。



「だから名前。教えて」




「...森山さんの好きに呼んでいいよ」




なんだそれ。



なにか名前を教えたくない理由でもあるのか。



それならそれで深追いはしない。



「んーとね、じゃあ三毛猫撫でてるから“ミケ”で」




「安直だね。わかった。じゃあそれで」




「あと、森山さんとか堅苦しいからAでいいよ」




「わかった。Aね」




ミケは嬉しそう笑った。





「A。そろそろ日も暮れそうだし、帰ったほうがいいよ」




オカンかよ。


と、心のなかでツッコんでみるもののミケに伝わるはずもなく。





「えー。もうちょっとミケと話したい」



私の口から出てきたのは、単なるわがまま。



「だめだよ。女の子でしょ。おれ明日もここ居るから」




その言葉に私の胸は大きく弾んだ。



「約束だよ。私も明日来るからね」




「うん、約束。また明日」





私は明日になるのを楽しみにしながら公園をあとにした。

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- おーーなんかすごいです (2016年8月25日 17時) (レス) id: d885b7a670 (このIDを非表示/違反報告)
天宮叶(プロフ) - 読んでいくうちにとても引き込まれましました。全体的に透明感があって思わずうるっとしてしまいました。 (2016年2月27日 16時) (レス) id: ba642bc330 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:被苦人 | 作成日時:2015年7月20日 19時

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