だるまさんは転ばない！

.16 ページ29

『大至急集合』

そうメッセージを送れば、やはりすぐに集まってくる大妖怪たち。


｢何事？｣

｢やっと付き合った？｣


もはや恒例になりつつある大妖怪恋バナVC。


｢今日彼女が泊まりに来る日じゃなかった？｣

｢そうなんよありちゃん。初日から色々あったんよ｣

｢やば！ さすがに早すぎやろ！！｣


何を想像したのか、なるせは大声を上げる。


｢なるせうるさい。手も繋いどらんわ｣

｢つまんねー｣と零すなるせにもう一度｢うるさい｣を発射する。


｢でもこんなことしててええの？ 彼女は？｣

｢今風呂入ってるから手短に話すわ｣



まず一番に言いたいこと。それはもちろんあれだ。

｢Aの言ってたゼミの子って……女の子やったらしい……｣


勘違いしていた恥ずかしさがじわじわ蘇ってきて、誰にも見られていないのに思わず顔を覆いたくなった。


｢えっじゃあだるまが勝手に勘違いしてたってこと？｣


若干笑い混じりに言うなるせ。こういう反応は予想していたがやはり少し腹が立つ。



2つ目。

｢やっとAとAPEXできた｣

｢おぉ〜よかったやん｣

｢結局前断られたのなんやったん？｣

｢なるせの言う通り、上手になってからがよかったらしい｣

｢えっ！？ 俺の予想やばすぎっ！｣

｢えぇ〜なるせすげぇ｣

相変わらず間延びした相槌を打つありさかに謎の安心感を感じる。



3つ目。

｢A、俺がストリーマーってこと知ってるかもしらん……｣

｢え、てか言ってへんの？｣

｢いやまじでそれ｣


普通は言うものなのだろうか。ただ何となく知られたくないだけで、俺には話す理由も話さない理由もなかった。


｢言う機会がなかったというか、何となく知られたくないというか、そもそもAってネットに極端に疎いし｣


｢何となくって何？｣


容赦なく踏み込んでくるなるせ。そもそも俺もその何となくの正体を分かっていないのだ。
しかし話を聞いてもらっている以上、無視するわけにもいかない。



｢なんか……嫌やん？｣

｢えなこりん親衛隊って知られるんが？｣


ドクンと心臓が跳ね上がる。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す