ホシと懇願 ページ45
.
「…すこし、Aと2人にしてもらえませんか、」
クプスヒョンのいなくなったAの部屋で、俺はそう呟いた。
「…わかった、
クプスが帰ってきたらみんなで話そう」
そう言ったジョンハニヒョンを皮切りに、俺のことをチラチラと見ながらもシュアヒョンとドギョムが部屋を出て、ウジは黙って俺を見つめてから、Aの部屋を後にした。
ぱた、と扉が閉まったその瞬間、
おれはAを抱きしめた。
「…スニョン、」
今ではもう懐かしささえ感じるその呼び方に、目から勝手に涙が溢れる。
「A、A…」
確かてるみたいに、名前を呼んでその小さなからだに縋れば、ゆっくりとAの手が俺の背中に回る。
「…ごめんなさい、わたし相談もなしに」
耳元で聞こえるAの声は、申し訳なさそうな、おれに、赦してほしそうな、そんな声だった、
「おまえの気持ちはわかるし、おれはAに戻ってきてほしいと思ってた」
あの時、ジョンハニヒョンの部屋で言おうとしたのは、Aの復帰に賛成だということだった。
ジョンハニヒョンの意見にももちろん頷けたけど、それでも、俺はこれ以上、AのいないSEVENTEENは耐えられなかった。
「俺、なんでもする」
Aを抱いていた腕をゆっくりと解いて、Aをまっすぐ見つめる。
「ホシさん、」
「なんでも手伝うし、Aの力になる。」
「だから、おれを、
おれをいちばんに、頼ってほしい」
これは俺のわがまま。俺をAのいちばんにしてほしい。どんなかたちでも。
「Aが何か不安に思うなら、それを拭ってやる。何か問題が起きたら、一緒に解決策を探す。ずっとそばにいる。
だから、
おれを、頼ってほしい」
情けないお願いの仕方だ。
それでも、それでも俺はAのいちばんでいたいんだ。
一緒に練習生になった時からずっと、
デビューが決まった時も、
同じパフォーマンスチームになった時も、
そしてAが記憶を失くした今も、
おれを、いちばんに、選んでほしい。
「うん、わかったよ。
…スニョン」
Aはその細い指で俺の涙を拭いながらそう答えた。
眉を下げて微笑むAを、もう一度抱きしめる。
こんな時に縋り付く俺は、ずるい。
それでもおれは、やっぱり、Aのいちばんになりたいと、どうしても願ってしまうんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1342人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆいか(プロフ) - ぴょんさん» ぴょんさま、コメント下さりありがとございます！思い出した…と思いきや、でした、笑まだ記憶を戻すには少し時間がかかりそうですので、暖かく見守っていただけたら嬉しいです笑こちらこそ読んでくださってありがとうございます♡ (2022年10月7日 0時) (
レス) @page44 id: ebc0952f7b (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - えー！！記憶思い出した！？！！面白いです！！更新ありがとうございます！！ (2022年9月29日 23時) (レス) @page39 id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか(プロフ) - なのこ5546さん» なのこさま、コメントくださりありがとうございます！すごく嬉しいお言葉ばかりで…大変励みになります、ありがとうございます（ ; ; ）これからも不定期にはなりますが更新頑張りますので是非また読みにいらしてください♡ (2022年9月23日 0時) (レス) id: ebc0952f7b (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - コメント失礼します🙇♀️小説とっても面白いです！！紅一点がたくさんある中、主人公の記憶がなくなる設定はなかなか無いのでワクワクしながら読んでしまいました。更新楽しみにしておりますこれからも頑張って下さいっ！！ (2022年9月16日 12時) (レス) @page29 id: 88c8eec9ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆいか
| 作成日時：2022年8月23日 1時
