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最寄り駅に着き、当然ホームでお別れすると思っていた彼は改札の方へ歩いていた。
「えっ、ここでばいばいじゃないんですか?」
私が尋ねると彼は怪訝な表情で私を見た。
「いや、なんで?ストーカーかもしれん男がおるかもしれないんすよ?駅でサヨナラするほど心無い人間ちゃうんで」
拗ねたように口をとがらせる彼が可愛らしい。
やっぱりペットを飼いたいと思ったのは内緒。
「そ、そっか……ありがとうございます」
心からの感謝を述べると拗ねていた彼の表情が少し穏やかになる。
「でももし俺に家とか諸々バレたくないとかやったら言うてくださいね」
「鬱先生さんたちにバレてるので大丈夫です」
「……あー、そっか。Aさんの部屋で酒盛りしてましたもんね」
少し馬鹿にしたように笑われた。
んんん?なぜ彼は鬱先生たちがうちの部屋で酒盛りしていたのを知っているのだろうか。
えっ、ちょっ!待って!
よくよく考えたら、チーノさん普通に私の事ゴリラって呼んでなかった?
もしかして私が気付かなかっただけで、我々だ関係者様には身バレしていた?
つまり《私=オコメチャン≒ゴリラ》の方程式はとっくの昔にこの彼やチーノさん達にバレていたということか……!
マジかぁー
マジかよー
とてつもなく死にてぇ気分だ
「―さん?……おーい!Aさん!聞いてますか?」
しばらく頭をフル回転していたせいか、肩を叩かれるまで呼ばれていたことに気が付かなかった。
びっくりしながら彼を見る。
「ご自宅はどちらですか?」
「あ、こっちです」
口頭で説明しながらコンビニの前を通り、マンションまで歩いた。
「ここです」
「えっ?ここって……」
おそらく、彼の言いたいことは分かる。
「シャオさんと同じマンションです」
マジか、と小さい声を漏らす彼。
「ちなみに、階も同じです」
「はあ?そんなことある?」
「ええ、私もそう思ってました」
遠い目で自分の階辺りを見る。
「えっと……じゃあここまで来たらとりあえずは大丈夫、やんな?」
「あっ、わざわざすみません。ありがとうございます。」
「いえ。俺が勝手にやったことなんで気にせんといてください」
助かりました!と頭を下げる。
「大きなお世話かもやけど、エレベーター気を付けて。それから人気の無い道とか夜道にも。SNSに投稿する文面と写真も住所バレたり本名バレたりすることあるんで一応気を付けてください」
お母さんかな?
再度お礼を述べて彼とは別れた。
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くゆる(プロフ) - すずらんさん» すずらんさん、こんにちは。コメントとTwitterもフォロー頂けて嬉しいです。応援して頂けるとやる気に繋がります!これからも読んで頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2020年2月11日 15時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
くゆる(プロフ) - 紅茶さん» 紅茶さん、遅くなってすみません。ありがとうございます。お言葉に甘えて無理せず更新しすぎてコメントすらも遅れてしまいました。ごめんなさい!相変わらずのんびりになるとは思いますがこれからも読んで下さると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2020年2月11日 15時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - おはようございます、更新お疲れ様です。いつもとても楽しみにしております!応援させてください! (2020年2月9日 6時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 大好きです!!!!更新無理せず頑張ってください!!!応援してます! (2020年1月5日 21時) (レス) id: 203f8de236 (このIDを非表示/違反報告)
くゆる(プロフ) - ゆきなさん» ゆきなさん、明けましておめでとうございます。遅くなりすみません。オコメチャンきっと感無量です!イケメンかな?ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。 (2020年1月5日 1時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くゆる | 作成日時:2019年10月28日 22時