【APヘタリア】その怪盗、見習いにつき。

尾を振る犬は 2 ページ11

「早く戻してくれよ！」

双子は、
活発そうな片方がアルフレッド、大人しそうなもう片方がマシューというそうです。

2人は菊さんの札の呪いで犬耳が生え、尻尾が生え、
今にも犬になってしまいそうな感じ。

「…盗まなくてよかった」

ぼそ、と小声で呟いた。

「A様？
怪盗がそのようなことを言って宜しいので？」

「！？聞こえてたの…」

「犬耳つけたA様も素敵だと思います」

「聞いてる？」

…まあ、コレはおいといて、
問題はその双子の処分だ。

「貴方がたの呪いは強力です。
札の呪いに加え、後から私が個人的に呪ったぶんも入っていますので」

淡々と説明する菊さん。
自身の耳と尻尾は出し入れ自由らしい。

「それで、僕たちをどうするっていうんですか」

大人しそうな、マシューが口を開いた。

「''善いこと''をしていただきます」

「…善いこと？」

「Aさん、アーサーさん、貴方たちにも説明しておきますね。これは後々役立ちますし、一応あなた方も盗もうとした側ですから」

ひぃ。

「いいですか、その呪いはピノキオ方式です。

善をしたらば則ち戻り、
悪をしたらば則ち進む」

「？具体的に、どういうことですか？」

私が口を開くと、

「つまり_____

''私たち''にとって都合の悪いことをすれば、

彼らの犬化は進行します」

その途端アルが立ち上がり、

「なんだって！？

マシュー、帰ろう！こんな馬鹿馬鹿しい呪い、
一晩寝てればすぐ____」

すると、なんということでしょう。

彼の手はみるみる毛が生え、
ふさふさの犬の手になってしまったのです。

「ぐっ…！」

「諦めようよ、アル。今は我慢して従うしかない」

そして、そう言ったマシューの尻尾は引っ込んでしまいました。

「はい。今のが良い具体例です」

「…こえー」

アーサーが珍しく怯えている…！



化け狐、恐るべし！

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