MUSIC of PHANTOM~最終章~

最期の願い* ページ42

マックside


6人へのメッセージ。最後は。


「まっ、く」

「トム、無理すんな」

「ふは、あいかわらず、やなぁ…マックは、私のお父さ、でお兄ちゃん、で、リーダーで…神様、」

「神て…死神の間違いやろ。俺はお前をこの世界に巻き込んだ」

「巻き込まれて、ない。マックのせいや、ないよ」


俺の頰に触れるその手は冷たくて、泣きたいほど、優しい。


「マックおらんかったら、私は、死んでた。子どもん時も、あん時、も…マックに2回も、生かされとる」

「お前が生きたいと願ったからや。俺はそない優しい人間やないしな」

「そう言うと、思っとったよ…大事なもん、沢山貰うた…1番は名前…私の…篠原Aという、私の」

「トム！」

「寝んな！」

途中で力尽きたように目を閉じるファントムに、焦って声をかける。


「…聞こえる…みんなの声。大好きな、お兄ちゃん…ねぇ、泣かないで…いつも、みた、にバカみた、いに笑って」

「無理に決まっとるやん！」

「トム寝たらあきません！」

「必死やなぁ…少し、お別れ、するだけゃ」

「俺はそんなん認めんからな！」

「トム！」

「…お前ら」


ずっと黙っとったアーセナルが、静かに口を開く。
その声はいつもより低くて、震えとった。


「トムが笑え、言うとるんや。叶えんでどうする」

「せやけど！」

「妹の、Aの我儘やで」

「っ、…せやな、貴重な我儘やな」


いつも笑顔で隠す、トムの、Aの。最期の、我儘。

俺たち兄貴が、叶えんでどうする。

「メンバーに…約束、守れんで、傷付けてごめん、て…大好きって。たつに…_____」

「分かった」

「ありが、とぉ…みんなに会えて、ほんま良かった…妹、になれて、仲間にな、れて…名前、貰って…何一つ返せ、でごめん、ね」

「そんなことない…！お前がおったから、俺らは笑えたし、楽しかったんや」

「せやで〜！毎日可愛いトムの笑顔に癒されとったんやから」

「こちらこそ、ありがとうな」


ジャッキー
アーセナル
ガム
トッポ
エース
ジョニー
俺

7つの手が、トムの手に重なる。
しあわせ、とトムが呟いた。

「ゆっくり休み」

「A」


『おやすみ』


ふわり、とトムが笑って。


「________」


室内で起こるはずない風が。

花びらを舞い上がらせながら、慈しむように、優しく吹いた。



最期の願い(ワガママ)

(愛された白色は)

(愛する兄達に見守られ)

(心底幸せなそうな笑みを浮かべて)

(その瞳を、そっと、静かに閉じた)

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