MUSIC of PHANTOM~最終章~

イチノセファクトリー ページ29

マックside


「ここにいるんやな、アイツ…」

あのあと、ナイトからの情報をもとに急いで駆けつけた場所は、イチノセファクトリーの工場跡地で、トムの本当の家やった。

長い間手入れがされていないためか草木は長くなり、ボロボロな感じはするものの、いかに裕福な暮らしをしとったかが分かるような、そんな上品さを兼ね備えとった。


「静かすぎひん？」

「ほんまに合うとるんか？」

「ナイトの情報が間違っとるわけあらへん」


行くで


そう言えば、各々スーツを直したりして横に並ぶ。


ガチャリと開いたドアの奥は暗くてよう見えんけど、なんか異様な感じはしとって。

「………この臭い…血、やんな」

「ビンゴ、ってとこか」


一歩踏み出して入ってみれば、さすがは工場といったところやろうか、大きな機械とかがたくさん置いてあって。

その中でも開けたところに１つの影が見えた。


「お待ちしておりました、8UPPERSの皆様」

アーセナルが銃口を向けるその先にあるのは、恭しく頭をさげる1人の男の姿で。

どこにもファントムの姿は見当たらんくて。


「お前がサカモトやな？」

「いかにも…その通りでございます」

「ファントムはどうしてん！何でおらんねや！」

「花恋様………ファントム様なら、この先の花畑におられますよ」


一瞬の間があって、そう言う男の言葉に、嫌な予感が渦巻く。

「皆様をお待ちでいらっしゃいます。早く行ってさしあげてください」

「………アーセナル」

俺の言葉に静かにリボルバーを下ろしホルダーに閉まうアーセナルを確認して他の奴らに目を向ける。


「あいつの両親殺したんも、関ジャニ∞狙ったんも、今までの仕業はすべてお前で合うてるか？」

「すべて私がやったこと。私の指示で部下が動いたことです。否定するつもりはございません。その償いは自分でします」

「あいつは悲しんで苦しんだんや。その原因を作ったお前のことは一生赦さへん。けどあいつがお前を殺さんかったんなら、俺らはお前に手は出さへん。あいつが自分で決着つける言うてたからな」

他の奴らも不服そうではあったけど、俺の決めたことに何も口は出さへん。

花畑へと続くであろう扉を開けようとした時。


___花恋様…


パン、と言う軽い音に一斉に後ろを振り向けば。

足元から崩れ落ちるサカモトの姿がそこにあった。


イチノセファクトリー

(嫌な予感を否定したかったのに)

(今の彼奴の行動が)

(それを最悪な結末へと)

(連想させるしかなかった)

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