甘えたさん ページ15
マックside
「疲れたぁ」
ころり、とソファーに座っとる俺の膝に頭を乗せる、ファントム。
今日1日いろんなところに行っとったらしいし、そりゃ疲れるやろう。
どこに行ったか、とかは知らんけど、
おおよその予想はつく。
まぁ、その通りには俺らがさせへんけど。
「トム」
「ん?なにぃ?」
「明日の、場所のことやけど」
コイツとサカモトが決着をつける場所。
その場所についてトムは何も話してくれへん。
「…前も言うたけど、確信が持てへんねん。やから、明日まで待って?」
「確信なくてもええから、少しでも教えてや。情報屋に調べてもらうことやってできるやろ」
「今からや間に合わんよ。それに、そんなことしたらサカモトが何しだすか分からへんもん」
お願いやから…
そう言うてまっすぐと俺を見る。
その目はどこか儚くて
少しの寂しさをのせていた。
これ以上聞いても何も言わんのはわかっとるから。
分かった、と頭をなでれば気持ち良さそうに目を瞑った。
嫌な予感しかせぇへんし、タダで済むとは思っとらん。
何より俺らはアイツのことを知らんから。
情報屋に聞いても、なんも出てこんかった。
それほどの相手やということ。
ゴロンと寝返りを打ったトムは俺の方を向く形になって、服の裾を少し掴む。
この動作は昔からコイツが甘えたいときにする動作。
「なんやねん」
「少しだけぎゅっとしてもええ?」
上目遣いで、俺を見るその目は涙がたまっていて。
「ん、ええよ」
お前のことどれだけ見てきたと思ってんねん。
それがお前のサインやって。
気づかないとでも思ったん?
お前が思ってるようなことには俺がさせん。
いや、俺らがさせへん。
小さく寝息を立て始めたトムから流れた一筋の涙を指ですくって、その額に小さくキスを落とした。
甘えたさん
(気づいた時には俺も寝ていて)
(かけてくれたであろう布団と)
(部屋に戻る旨を伝える文に添えられた)
(ありがとうの言葉)
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もも - はじめまして、いつもとても楽しませて頂いていました。続き楽しみにしています。いつまででも気長に待ってます。ゆっくり、無理なさらず、ご自分のペースで頑張ってください!! (2019年12月8日 14時) (レス) id: e553bc82f3 (このIDを非表示/違反報告)
さすけん(プロフ) - 初めまして、いつも続きを楽しみに読ませていただいています。途中のトムの手紙のところで号泣し、最近は更新ごとに泣いてます。次の更新をいつまでも待ち続けるので、無理しない程度に頑張ってください!風雅さん大好きです。これからも応援しつづけます!! (2019年12月3日 23時) (レス) id: 3cfe6e774f (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - みけねこさん» みけねこ様初めまして。コメント頂きありがとうございます。貴重なお涙を頂いてしまったとのこと、本当にありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。ファントムと彼等の想いを大切にしながら執筆して参ります。最後までお付き合い頂けますと幸いです。 (2019年11月18日 2時) (レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 彩葉さん» 彩葉様、初めまして。コメント頂きありがとうございます。拙い言葉と文で読みにくい箇所も多々あるかと思いますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。大倉さんの想いを大切にしながら執筆して参ります。引き続き最後まで何卒よろしくお願い致します。 (2019年11月18日 2時) (レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 初めまして。最初から読ませて貰いました。夢中で読んでました。涙が止まらないお話もあったりして、また更新されるのを楽しみに待ってます。 (2019年11月16日 23時) (レス) id: 5ac0d2c424 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風雅 | 作成日時:2015年8月1日 0時