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46話;彼の為に ページ16

……その後、救急車はすぐ到着し、彼の友人という事で一緒にボウヤと共に乗せて貰った、彼の手はほんのり冷えたままだったがそれ以上冷たくなる様子が無かったのはまだマシだった、
骨が何本か折れたが内蔵は無事、だが体に切り傷が沢山出来ていたそうだから一応包帯は巻かれた、
痛々しくて涙が出てきそうだった、彼の綺麗な体が俺のせいで傷付いたと思うと苦しかった、だが、彼の方が苦しいと考え我慢した。
彼は頭も打ったらしく、脳震盪と大きな切り傷でガーゼと頭にも包帯が巻かれた、もっと泣きそうになった。








…その後、彼が目覚めなくなってしまった。









「…………Aさん……」









名前を呼ぶも、
空しく病室に響くだけだった。









「(…何故こうなってしまったんだ…)」









理由は簡単、彼が俺を庇ったからだ。






彼は男らしく、とても優しい、優しさのあまり
自分を犠牲にして人を助ける、それが彼だ。





人を殺して生きてきた俺とは違う。









「(…A)」









心の中で彼の名前を呟くも、
ただただ悲しいだけだった。





…ライ時代だった頃、
バーの彼の寝顔と全く同じだ、

だが、あの時の様なときめきは何も感じなかった、代わりに悲しさや寂しさが俺の心の中で蠢めいていた。









「…A君…」









手は相変わらず程よく冷えたままだった。
_________________________________________



工藤家に戻ってからも、ずっと俺は曇ったままだった、気を少しでも紛らわそうと本を読んだりドラマを観てたりしたが、常に頭の中には彼が居た。









「赤井さん、やつれたよ?」









とうとうボウヤにもそんな事を言われてしまった、自覚はあった、何せ体重が5kgも減ったのだから。

眠れば彼の悪夢、食欲も出る筈がなかった。









「…いつかAさんが目覚めた時、
心配掛けちゃうよ?」









そう言われてしまったら、少しでも彼の為に
元気になろうと健康的な生活を始めた。








煙草を減らした、
酒を飲むのも控えた、
なるべく外へ出た、
朝昼晩食べる様になった、





そうしたら体の中の悪い物がどんどん減って
いくのが分かる、何だかスッキリした。





心は曇ったままだが、
体は前よりも動く様になった。









「赤井さん、何だか顔色が良いね!」









とボウヤに評価された、
純粋に嬉しかったし気持ちが良かった。





 



「(これなら、彼にも褒めて貰えるだろうか)」

47話;彼が目覚める→←45話;恐怖



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ポテト - 主人公が赤井さんに起こる場面のセリフ「おきやぁ!」が「おぎゃぁ!」に見えてしまって吹きました笑 小説面白いです!頑張ってください! (2023年1月26日 20時) (レス) @page18 id: 1c2bcbd3b2 (このIDを非表示/違反報告)
Tyrant(タイラント)(プロフ) - みねさん» えー、一分曲だと思うんですけど、【すりぃ】さんのですよ?後ありがとうございます! (2021年2月27日 11時) (レス) id: 8824dda887 (このIDを非表示/違反報告)
みね - あの〜、今更ですけどエゴロックって3分ぐらいあると思います。後最高でした! (2021年2月26日 7時) (レス) id: 020e8c48d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Tyrant(タイラント) | 作成日時:2020年3月23日 23時

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