第75話 よそ見しないで ページ25
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良い感じにセットしてもらった髪の毛と、普段よりちょっぴり短いスカート。
この日のために買った、淡いコーラルピンクのリップは、落ちませんように…って、念入りに。
気づいてくれるといいな。
気恥ずかしいけど、可愛いって思われたい。
今日は、うちの生徒だけじゃなくて、他校の生徒も来る特別な日。
その中のたくさんの女の子たちが何を目当てで来てるかは、一目瞭然で。
その子たちが、修也を放っておくわけがないよなぁと、思うと眉間に皺が寄る。
そんな場面、いくつも見てきたから。ちょっと心配っていうか、正直やめてくれって感じだし。
だから、よそ見しないでって意味も込めて、気合を入れた。
修也の心の中にいていいのは、私だけ。
邪魔しないで。
て、ちょっと強気すぎるかも。
「豪炎寺くんのクラスは何やるの?」
秋がクレープ片手に、私をちらりと見た。
「教室で何かするとは聞いてるけど、詳しくは知らないんだよね」
修也に聞いてもそれ以上は教えてくれなかったしと、付け足すと、秋は『へ〜』って変な顔した。
「ふふ、なんなのその顔」
「いやぁ、教えないってことはさ、Aに知られたくない理由でもあるんじゃないかと思って」
「えぇ?何それ、どういうこと」
「まあ、とりあえず行ってみようよ。今日の可愛く仕上げたAのお披露目も兼ねて」
「やめてよ、恥ずかしいなぁ」
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作者名:pomme | 作成日時:2021年3月22日 10時