カプチーノ 【豪炎寺修也】

第2話　後悔 ページ2

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ぼんやりしている間に、バタバタと葬儀が執り行われた。



遺影の中のお母さんは、いつにも増して綺麗だった。いつの写真だろう。

背景は塗りつぶされていてわからないけれど、きっと、素敵な場所で撮ったんだろう。



お父さんの横に並べて置いてあげなきゃね。同じ写真立てに収めるのってありなのかな。家には私しかいないんだし、マナーなんて関係ないか。



そんなことばかり考えていると、不思議と涙は一つも出なかった。




「お母さんがなくなったのに、全然悲しそうじゃないのね。変な子」


お母さんの姉の美恵さんだ。この人は、なぜか昔から私のことを嫌っていて、会うたびに大人気無い言葉を浴びせてくる。

いつもはうんざりしてるけど、今日ばかりは同情する。

私だって、身内が亡くなったのにケロッとしてる人を見たら、『なぜ？』と問いかけるだろうし。





だけど、実を言うと涙が出ないだけで、心はずっとキリキリして苦しかった。

平気な顔をしてないと、どうにかなりそうだったから。


お香の匂いと、みんなのすすり泣く声。慰めの声をかけてくれる人。いろんなものがザバザバと一度に押し寄せてくる。

気持ち悪くて吐き気がした。



お母さんの体調を私がもっと気遣っていれば。あの日、薬持ったって、聞けばよかった。もっともっと、感謝を伝えるべきだった。



どれだけ悔やんでも、大好きなお母さんはもうどこにもいない。

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