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第33話 冗談がすぎるよ ページ33






「なんてね。冗談ですよ」

クスリと笑った豪炎寺くんが、両手を離したあと、私の頭をくしゃっと撫でた。


「な……」


なに、それ。

今のこれは何。


ありえないくらいドキドキして、顔が熱くて、恥ずかしくて苦しくて、なんかもう無理。

ドッドッと荒れる心臓が痛い。



何なの。からかってるの?

意図は何?


恥ずかしさのあまり、怒りにも似た感情がふつふつと込み上げた。




「あのねぇ、豪炎寺くん。」


すました顔でドリンクに口をつける豪炎寺くんの手を止めた。


「そういうの、気安くやっちゃダメなの。わかる?」


すると、『何でですか』って言いながら、また私の髪をさらりと撫でた。



また心臓がキュッとする。



「っ……、だから……ね、そういうの、勘違いしちゃうから」


俯きながら言った。


で、ちょっと後悔した。

こんなの、あなたのことが好きですって言ってるようなもんだ。彼女いるのに。


ああ、やっぱり言わなきゃよかった。

なんだ、冗談ねって流すべきだった。……それももう遅いよなぁ。






「あの…ごめんね、何でもないから。……気にしないで」


いたたまれなくなって帰ろうとしたその手を、豪炎寺くんが引いた。


「待ってください」


「な、なに?」



片手でカバンを持ったまま、ぼんやりした頭で豪炎寺くんを見つめた。




「先輩」


そう言いながら豪炎寺くんは立ち上がって、私の両肩に触れ、ゆっくりと抱きしめた。



「勘違い……していいから」

第34話 どういうつもり→←第32話 ファスナーと熱



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pomme(プロフ) - 雪華さん» 高評価ありがとうございます!ごめんなさい…そのあたり詳しくないです( ; ; ) (2021年3月18日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 高評価しました!東方は知ってます?私は東方の霊夢・チルノ・大妖精・魔理紗は大好きです! (2021年3月18日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 星猫さん» 知ってるアニメ……?何ですかねぇ。メジャーどころはほとんど知ってるんじゃないかな〜と思います。イナイレはもちろん好きですし、あとは呪術とか金カムも好きです〜! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 7207ce4c56 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月9日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pomme | 作成日時:2020年12月31日 5時

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