第87話 イメチェン ページ38
．
たぶん今、ひどい顔してる。
鏡見なくてもわかる。
あと10分くらいしたら落ち着くから。と、意味もない言い訳をした。
部屋まで、少し遠回りして帰ろう。
必要以上にゆっくり歩こう。
夜なのにいやになるほど蒸し暑い。ああ、ほんとうに、こんなはずじゃなかったな。
少し離れたところに、赤いTシャツ着た集団が見える。
音駒の人、部屋着まで赤なんだ…と、ぼんやり思った。
たぶん山本さんらしき人の騒がしい声が、こっちまで聞こえてくる。
この人といい、田中先輩といい、ああいう見た目の人ってやたら元気だよね。
そう思ったとき、騒がしい当の本人が私に手を振って何か言った。
え、何？
面識ほぼないです。怖いです。
間違いじゃないのかと思って後ろを振り返っても、誰もいない。
ますます意味わかんなくて、ぼーっと立ってると、向こうから小走りで近づいてくる人がいた。
ねぇ、絶対GPS付けてるでしょ。
そろそろ怖くなっちゃうよ。
夜とは思えない爽やかな笑みを浮かべるこの人に、心の中で悪態をつく。
「髪の毛ツンツンじゃない」
「ぷっ、一言目それ？まぁいいけど。どう？イケメンに磨きかかってるっしょ」
「……うん、まぁ、そうですね」
「ふはっ、相変わらずだねぇ」
黒尾さんは楽しそうに笑った。
よかった。夜で。
明かりがあるとはいえ、薄暗いから、表情がうまく隠れる。
バレない程度に顔背けてたら、気になんないよね。
ちょっと鼻声だけど。
そう思ってたのに、黒尾さんはそういう期待を易々と壊した。
「……Aちゃん、何かあった？」
「いや……別に、何もない…です」
「じゃあ何で、そんな顔してんの？」
無意識に顔を上げると、視線が交差した。
眉をひそめた黒尾さんが、親指でそっと私の目元に触れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜！！🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (
レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます！！！黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう！もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜！ (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう！好き！コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に！愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます！ (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます！！！嬉しすぎて、もう泣いちゃう！！素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：pomme | 作成日時：2022年1月20日 23時
