第53話 甘美な焦燥 ページ4
．
「わかったから、そんな怖い顔すんなよ。要するに俺が邪魔ってことね」
黒尾さんが、やれやれと肩をすくめる。
何か申し訳なくなって、『ごめんなさい』と眉を下げると、黒尾さんは『Aちゃんは謝んなくていいから』って、挑発するように私の隣をジッと見た。
超煽られてるよ、影山くん。
それに気づいた影山くんが、黒尾さんにはギリ届かないくらいの舌打ちをかました。
『じゃあね〜、ごゆっくり〜』と、手を振る黒尾さんに手を振り返そうとすると、影山くんに勢いよく制される。
「ちょ…なんで」
黒尾さんが見えなくなった途端、影山くんは私の手首を掴んで、壁に押し付けた。
「影山くん……？」
「……ムカつく」
「なにが……」
「アイツが“Aちゃん”って呼んでんの」
影山くんが、手に力を込める。
たしかに、“Aちゃん”って呼ばれてるけど。…でも、黒尾さん的には妹の名前呼ぶくらいの感じだと思う。たぶん。
そんなことを言うと、影山くんは大きくため息をついて、私の手首から手を離した。
「何にもわかってねぇ。……なぁ、A」
影山くんが、少し上目遣いに私を見つめる。
途端に、ドクンと心臓が鈍く軋んだ。
「俺は何で“A”って呼ぶと思う？」
「……何でって…」
『付き合ってるから』
───って、言いたいけど、恥ずかしくて口をつぐんだ。
「A、こっち向け」
ハッとして、顔を上げた。
思いの外、影山くんの瞳がすぐそばにあって、鼓動が速くなる。
いつもより少し怖い顔をした君。
それでも、どことなく甘さを漂わせているように見えるのは、きっと名前を呼ばれたから。
その瞳を見つめてぼんやりしていると、何の準備もしていない唇を、いとも簡単に塞がれた。
『待って』って言う間も無くて。
切羽詰まったような雰囲気に飲み込まれそうになりながら、影山くんの服をギュッと掴んで目をつむった。
最後に一回、触れるだけのキスをして、影山くんは満足そうに口角を上げた。
「……こういうことだ。だから、アイツには気をつけろよ？」
『ほら、戻るぞ』と言う、その声で我に帰った。
練習中……じゃん。
それよりさ、私はいつ、君のことを名前で呼ぼう。
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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜！！🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (
レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます！！！黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう！もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜！ (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう！好き！コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に！愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます！ (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます！！！嬉しすぎて、もう泣いちゃう！！素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2022年1月20日 23時
