第10話 流れる歳月 ページ10
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心臓が張り裂けそうってよく言うけど、今みたいな瞬間こそがまさにそれだ。
心臓張り裂けタイム。ああやだ苦しい。胃も痛いし、全部の筋肉が張り詰めてる感じする。
もしかしてほしい。神様、一生のお願い。
全身全霊、大いなる期待を込めた眼差しを君に。
だけどそれは、あっけなく打ち砕かれた。
「ち、違うからな？好きな人とかいねぇから、パッと思い浮かんだのがAだったってだけで…」
影山くんが目を逸らす。
「ふ〜ん、なるほどね。隣の席だし、パッと浮かぶかぁ。まあ、そうだよねぇ。影山くん、人に興味無さそうだし」
『も〜勘違いさせないでよ』とか言って、影山くんの背中をバシバシ叩いた。
受けたショックとか、マイナスな気持ちを全部、掌に乗せて。
熱くなった目頭は、叩いた掌がヒリヒリして痛いからってことにした。
それから、ちょっとだけ無理に笑った。
「さっ、そろそろ行きますか。王子様」
「おい、やめろ。……てか、あのな、A。お前のことはその…」
影山くんは何かを言いかけて、口をつぐんだ。
うじうじしてるとか、らしくない。
「何？風邪でも引いた？」
「引いてねぇよ。…あの、あれだ。お前のことは嫌いじゃねぇからな。……ほら、行くぞ」
それから、影山くんは強引に私の手を引いた。
「わ、ちょっと」
ずるい。何それ。てか、何この手。
ねぇ、わかってるの？
わかってないなら大罪だよ。だってほら、私、あんなこと言われたらもう引き返せないし。
無理ってわかってても期待しちゃうじゃん。こんなの。
大勢の女の子から私を選んでくれたとか、本気で思うよ？いいの？
今の気持ち、繋いだ手から伝わってくれたらいいのに。
そんなの絶対無理なんだけどね。
だから、いつかこの気持ちが実るように、いっぱいいっぱい祈った。
みんなのところに戻ると、影山くんは“王子様”って盛大にもてはやされた。
一方の私は、誰からも“お姫様”とは呼ばれなかったけど。うん、ふつうに切ない。でも仕方ない。
世の中はそういうもんだ。
でもひとつだけ言えるのは、あの瞬間、影山くんは私だけの王子様だったってこと。
……とか言って。やっぱキモいわ、私。
────そして今。
「A、久しぶりだな。Aが引っ越してからだから５、６年ぶりくらいか？」
「そうねぇ。もうそんなに経ったんだ」
「てか、王子様はやめろ」
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pomme(プロフ) - 読み専さん» コメントありがとうございます！！頑張らなきゃ！ (2021年12月31日 20時) (
レス) @page39 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
読み専 - え、続き読みたい…更新待っております！！ (2021年12月31日 11時) (レス) @page42 id: 0067091e87 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑🍊さん» そうなんですwwめちゃくちゃ地味なところに謎のこだわりを詰め込んでます😎ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月21日 23時) (レス) @page35 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑🍊 - あと、今更気が付いたのですがタイトルの付け方もお洒落で、全部5文字になっているんですね😄応援してます！ (2021年11月21日 22時) (レス) id: e3fbbedd51 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑さん» ひえぇ！嬉しい…！褒められ慣れてないのでソワソワしちゃいます🥺密柑さん、もうほんとめちゃくちゃありがとうございます！ (2021年11月9日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2021年9月20日 23時
