52.今だけ ページ12
お腹いっぱい食べた後、章大がお会計してくれて外に出ると、満天の星が広がってた。
「ご馳走さま。ありがと」
「どういたしまして」
夜風が心地いい。
東京では、電車の時間を気にしながら駅までの道を歩いてたけど。
「今日は同じとこに帰るねんなぁ」
「……そだね」
同じことを考えてたのか、章大が呟いた。
ちらりと見えた横顔が、心なしか幸せそうで。
それを見て、幸せだなって思う。
肩に触れる章大の体温。
前と違うのは、あたしの指にそっと絡む章大の指。
ぎゅ、って力を込めたら、ぎゅって同じだけ返ってくる温もり。
「一緒におるって、幸せやな」
「……ん」
「帰ったら一緒に風呂入ろな？」
「え。イヤ」
「なんで！？」
「逆になんで！？」
「一緒が幸せや言うたやろ」
「それとこれとは話が別じゃん…」
「俺ん中では一緒やった…」
「どんな理屈よ」
こんなやり取りで笑いながらも、手の温もりのおかげなのかどこか甘くて。
ただただ、今だけ見てようって思う。
家に着いて、順番にお風呂に入って。
章大が敷いてくれた布団に横になったら、一気に眠気が襲って来た。
「疲れたやろ？」
「うん…さすがに」
「明日の朝はゆっくり寝とき？」
「…ん」
「んで、昼んなったらええとこ連れてったる」
「…ふふ、うん」
まだまだ、ほんとは話してたいけど。
章大があたしの髪を撫でるたびに瞼が重くなって。
いつの間にか、意識を手放してた。
陽の光に目が覚めて、布団の中で思いっきり伸びをする。
「んー……」
今何時？時計を確認すると、7時半過ぎ。
思ったよりまだ早くて、二度寝しようかどうしようか迷いながら寝返りを打つ。
「章大…？」
ぴったりくっついた布団は夜とおんなじだけど。
章大が居ない。もぬけの殻。
「章大ー？どこー？」
どこにも気配がなくて、あたしも布団から這い出たらローテーブルにメモがあった。
�狡�飯獲ってくる！ゆっくりしといてな？��
魚の絵…釣りかな。
朝飯獲ってくるって、野生児か！
「んー」
ゆっくりしといてって言われてもな…。
章大のいない布団を見たら、身体がぎゅーっとなった。
薄いシャツを羽織って外に出ると、もうとっくにジリジリとした暑さ。
それでも、いつもみたいに憂鬱にならないのが不思議。
海の方へ歩いて行くと、堤防の先端に章大が見えた。
ゆっくり近付くと、気配に気付いたのかちらりと振り向く。
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みき(プロフ) - 夏休み編、完結おめでとうございます！おだやかな気持ちで東京に戻れて良かったです〜！新しい章も読んできます〜！ (2021年5月9日 16時) (
レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます！有休をまとめて消化したら、ついつい気持ちが緩んでしまってます 笑。これからお話の方も完結に向けて進めていきたいと思いますので、もう少しお付き合い下さい♪ (2021年5月9日 11時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！嬉しいです♪お仕事もお疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね。主人公の気持ちが痛いほど感じられて、切なくて涙が出そうになりながら読んでいたら、章大くんの気持ちも知れて…ホッとしました〜！！ (2021年4月15日 3時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 竜宮城のようなゲストハウス、素敵な絵が目に浮かびます！ボク。ともリンクしているのもすごいなぁと。インスタも始まり、チェックするものも多くなってきてますよね(^◇^;)そんな中でも更新ありがとうございます。続きも楽しみにしています♪ (2021年1月31日 14時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» お返事が遅くなってすみません！2人は翌日に離れ離れなのに、私が書くの遅過ぎてすごい遠そうな気がしてきました 笑。現実世界に全く追いつきませんが、ぜひ続きも楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年12月21日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年10月16日 20時
