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彼女の元へ歩み寄り、傘をかければ俯いた顔がこちらを向く。
そして、俺だと気づいた瞬間バツの悪そうな顔をしたんだ。
「もしかしなくても、俺のこと待ってた？」
なぜだか知らないけど、こういう時はなんだか冴えてる。
だって、もうすぐそこは俺の家なんだから。
一度だけ、控えめにだけど首が縦に揺れた。
「連絡、してくれたらよかったのに」
困ったら連絡してって言ったのは俺だから頼ってくれたことに何もとやかく言うつもりはない。
...し、むしろ頼れる存在になれてるんなら良かったと思う。
けど、今この現状はどうも最善とは言い切れないよね。
『...スマホの充電切れちゃって、あと家もちょっと曖昧で...。
どうしようかな、とかも思ったんだけどなんかもうどうでも良くなっちゃった、』
あは、と力無さげに笑うその姿は、普段の彼女からは想像もつかないほど儚げなものだった。
「...細かい話はあとね。
とりあえず、このままじゃ風邪引くから。
おいで」
すっかり体の冷えきった彼女とともに、我が家へと向かった。
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家に着くやいなや彼女を脱衣所に詰め込み、あたたかいココアを用意する。
「ココア好きかな。」
元カノがココアを好きだったから、という理由で女の子はみんな好きだと思いきってたけど...
なんか俺女々しくないか？
『お風呂、ありがとう』
なんてくだらないことを考えながら自分用のコーヒーも用意してると後ろから彼女の声が聞こえた。
「ん、ちゃんとあったまった？」
『うん、』
「そう？あ、ココア飲める？」
『好き！』
「良かった、どうぞ」
コトン、と彼女の目の前に差し出すとAちゃんは美味しい.....と小さく声を漏らした。
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作者名：ミナ
| 作成日時：2019年9月18日 23時
