強い君.1 ページ17
今回の戦いは、最初から無理があった気がする。
つい一週間前まで、違う国との戦争で勝利をもぎ取ったばかりなのだ。
相手国の条約の改正、備品の確認、予算の誤差確認に得た賠償金。そして大切な、我々の仲間を弔う式の準備。
全てに追われ、ようやく腰を下ろした時だった。
『緊急速報!K帝国が宣戦布告!直ちに幹部及び兵士は装備を整えて戦闘準備に入れ!』
けたたましいサイレンが城内に響き、周りにいた奴らは慌ただしく駆け回る。
会議室に向かうとほとんどの幹部が揃っていて、座る時間も惜しくみな立ったまま話を聞く。
「完全に誤算や。奴ら、こっちが衰弱してる時に攻めて来よった」
触らぬ書記長に祟りなし、とは誰が言っていたか。まさにこの事だ。
苛立つ様子のトントンの言葉を脳内でまとめる。
まさに終わった時を見計らい、隙をついて宣戦布告。
既に西の戦線は崩れ、本土への防衛戦が始まっているらしい。
しかし、一週間も間を空けて攻めてきた上、一方面からしか正式軍を送ってきていない。他の方面は全て陽動と思われる。
つまり、一箇所を中心に突き進み城を陥落させる気らしい。
「とにかく西へ進むのが最適や。コネシマ、シャオロン、A、ひとらんの部隊は前線へ向かえ。ゾムと大先生は他方面の援護。終わり次第西へ」
「トン助、城内はどうする」
「オスマンが入口待機。エーミールは本土の指揮官を頼む。俺が西の指揮をとる、大先生は他方面。ここは大丈夫、問題は西方向や」
「今回総司令官はロボロやな。しんぺい神は後方の援護」
歩兵部隊の数も、航空機の数も、戦車も備品も、何もかも足りていない。
しかし、うちのトップ二人はいつもよりどこか燃えていた。
「とにかく、本土には入れるな。既にコネシマとAは前線に向かった。ゾムと大先生が今勝っているらしい。直ちに応戦しにいくで。はよ終わらせたんねん」
「今回は楽しくなるぞ!諸君、泥まみれで戦場を這いずり回ってこい!そして安眠の夜を取り戻すぞ!」
俺らはまだ残る疲れを払うように、野太い野郎の声を上げた。
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さとうきび(プロフ) - えるをん×@×IAさん» コメントありがとうございます!これからも精進してまいります。応援、よろしくお願いします! (2018年4月5日 22時) (レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
えるをん×@×IA(プロフ) - とても素敵な作品だなと思いながら読ませていただいている者です。これからも頑張って下さい(´q`) (2018年4月5日 0時) (レス) id: b8e4739678 (このIDを非表示/違反報告)
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