ゆめゆめゆられて.2 ページ12
また同じ夢。
そう考えているのに私の肉体は思考に反して動く。
ずる、ずる、と背後で何かが蠢く音がする。
そのまま何かに飲み込まれ、視界は黒くなっていく。
私が最後に姿と聞こえた声は、
「っあ、は」
視界にうつるのは自分の腕。上に伸ばすようにしている手は頼りなさそうに揺れている。
首元が寒い。どうやらずっと汗をかいていたようだ。
夜中の二時。日付は変わっていて外は真っ暗。
私は枕元にあるぬいぐるみを抱き寄せて、そのまま布団に潜りこむ。
ただの夢、大丈夫、と自分に言い聞かせる。そうでもしないと怖くて泣いてしまいそうだ。
『さよなら』
夢の中では、はっきりと兄さんは私に言った。
それが本当になってしまいそうで、心配になる。だって、兄さんとまた離れるなんて辛すぎるから。
「……会いたいよ……シャオくん……」
きっと彼なら明るく笑い飛ばしてくれる。その笑顔が恋しくてたまらない。
ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめて目をつぶる。寝たらまた夢を見そうで怖い。
そのまま私は朝まで小さく震えたままだった。
「今日の夜中辺りに、オスマン達帰ってくるってよ」
「夜中？迎えるのめんどくさいから寝てよ」
「コネシマは書類提出が先やろ」
「……おーいA、聞いてる？」
目の前に大先生の顔。
「あ、はい。どうしたの？」
「いや、目が死んでたで」
どうやらぼーっとしていたらしい。というか死んだ目は大先生ではなかろうか。
「あ、最近夜眠れなくて。夜中に目が覚めちゃうの」
「大丈夫か？顔色悪いで」
不健康ランキング一位の大先生に言われるなら、そうとう酷い顔をしているのだろう。
「もうそろそろ夕飯やけど、食べられそう？」
「……なんや、A体調悪いんか」
ゾム先輩にまで心配されると、なんか調子が狂うというか。
「大丈夫だよ。ありがとう」
「……気いつけてな。そのうち三徹目のトントンみたいになるで」
さ、ご飯食べるか。とゾム先輩は椅子に座る。
私もご飯に手をつけようとしたが、やはり食欲は無かった。
そしてあっという間に就寝時間。
「今日こそ眠れますように」
ぬいぐるみを抱えたまま布団にはいる。
大丈夫。もう大丈夫。
そう考えながら私の意識は沈んでいく。
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さとうきび(プロフ) - えるをん×@×IAさん» コメントありがとうございます！これからも精進してまいります。応援、よろしくお願いします！ (2018年4月5日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
えるをん×@×IA(プロフ) - とても素敵な作品だなと思いながら読ませていただいている者です。これからも頑張って下さい(´q`) (2018年4月5日 0時) (レス) id: b8e4739678 (このIDを非表示/違反報告)
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