37話 ページ37
イプシロンとの戦いから一夜明け当初の予定通り稲妻町へと戻ることにした雷門イレブンたちに漫遊寺サッカー部が感謝の言葉を述べていた。
「いろいろご迷惑をおかけしました、我々のために戦ってくれたこと感謝しています」
「こちらこそいろいろありがとう!」
「あの、木暮くんは…?」
おずおずといった様子で春奈が聞くが木暮の姿は先ほどから見当たらない。まだユニフォームを返してもらっていないが夏未は呆れたように目をつむり「記念のプレゼントということにしておきましょ」と言った。
『最後に会いたかったのかな?』
「そうかもね…」
少し俯いて悲しそうにしている春奈の後ろ姿を吹雪と蒼龍が並んで見ている。なんだか二人の距離が少し縮んだ気がする。
「木暮に言っといてください、サッカー頑張れって」
稲妻町へと向かう車内では木暮の話題で溢れていた。
「いや〜なんだかんだ言って木暮って奴は面白かったよな〜」
「チームにいれなくてよかったのかな…」
「いやいやそれでいいんです宇宙人に勝てるものも勝てなくなっちゃいますからねぇ」
「シビアだなぁ目鏡くん」
「あの〜お話し中のところすみませんが…」
皆が話している中大きな体を縮めた壁山が申し訳なさそうに声をあげた。皆して一番後ろの壁山の方を振り向いた。
「なんだい?」
『どうした?』
「んぁ?マジかよ!?」
車内に響くほどの大声で叫んだ染岡の視線の先には漫遊寺中にいるはずの木暮がいた。
後ろに置いてある皆の鞄の端に膝を抱えるようにして座っている。
「木暮くん!」
「ウッシッシッシッシッ!」
特徴的な笑い声を聞いて春奈は苦笑を溢した。
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作者名:南極 | 作成日時:2019年11月29日 20時