【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。3

7-4 ページ5

.






｢A……｣



｢口付けしよっか｣





朝起きて私が一番最初にしたこと何か知らないでしょ


sellyがポッポってやつしたがってたの、でも何かわかんなかったの本当に嫌だったんだから





｢くちづけ、なに｣



｢やってあげるからちょっとこっちに来て｣




さすがにこんな人通りの中では公開処刑すぎる
角の方にsellyを連れ込んで、向き合った

ぇぇ…とぼやくsellyにいたずらっ子ぽく笑う




｢なんかおかしいけどぉ｣



｢selly大っきいな……。ちょっとしゃがんでよ｣



｢…いやけど｣



｢んじゃそこに座って｣




目を白黒させてるsellyを状況が分かっていない間に座らせる

私は自分の横の髪を片側だけ耳にかけた




｢いい？3秒だけ目をつぶって
これサプライズだから、目開けちゃダメだよ
行くよぉー、いーち…｣



｢ややや、ふぇ……｣



｢にぃーい｣




目をつぶってくれたsellyを確認して、私は3を心の中で言った

sellyの口の位置をしくじらないようにすべすべの肌に手を置いて


韓国語でポッポ……それをプレゼントした




｢なぁっにするかぁ｣



｢ぽっぽー｣



｢オレが、あ、するの、したのが、いいのじゃ｣




｢ふははー、なにー？私、日本語わかんねぇー｣



｢……ｼｨﾊﾞｲ｣




｢ありがとう、selly。またすぐに会おうね
もし日本に来るなら手ぶらで、お金なしでいいよ。居候させてあげるから｣





情報処理に追いついていないsellyにさらに畳みかけて私は自分の荷物をsellyから抜きとった


ポンポンっとsellyから３歩離れて手の届かないところまで下がる




｢大会頑張ってね。浮気したら針千本だよ｣



｢おい、待て｣



｢だーめ。バイバイ｣





もう走った
振り返ることなんてしない


ゲートさえ潜れば私の勝ちなんだ




視界が歪んでいる
自分の鼻をすする音がうるさい


あぁ……恋しいなぁ。

7-5→←7-3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す