【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。[完結]

1-3 ページ19

.





sellyさんは電話をすると言って私をリビングにおいてどっかに行ってしまった

だだっ広い部屋にふかふかのソファー



周りを見渡してからそのソファーに肩を強ばらせながら座ってみる



何が狭いけどだ……mondoさんの家もそうだったけど、韓国の人は一人暮らしでこんなにいい部屋に住めるの？

私の1Kの部屋を見て欲しいわ





｢Aさん｣



｢はーい｣




sellyさんがスマホを片手に呼んでいた
私はすぐに立ち上がってsellyさんの方に寄ると何故か｢小さ｣と言われた


なんの悪意




｢Aさん、歳なに｣



｢歳？年齢ですか…？20歳(はたち)です｣



｢はたち？はたちなに｣


｢あ、20です。トゥウェンティー｣



｢あー、小さいね｣





なに、さっきから小さい小さいって
いやそりゃ確かにsellyさんより背は低いけど、私の身長は女子としては普通だし、決して小さいと人から言われるような身長じゃない



sellyさんは再びスマホを耳に当てるとそのまま私の年齢を電話相手に話した


誰と電話してるのか




｢なにがいいねか…。全然、違うけど｣




sellyさん楽しそう
というか…あれ？日本語？



電話相手は日本人なの？

私の話をしてるであろうその電話に聞き耳を立てる
電話口から男の人の声が聞こえて、それは聞き慣れたネイティブな日本語だった




楽しんでという言葉だけちゃんと聞き取れて、sellyさんの｢おじさん、やばいね｣で電話が終わった




｢何してるの｣



｢日本人と話してるんだなって思って、気になっちゃいました。
おじさんってことは、sellyさんは日本人とのクオーターとか？｣




｢…ん？｣



｢えっと、sellyさんの家族…ファミリーに日本人がいるの？って｣



｢いないけど、なんで｣




｢おじさんは日本人なんですよね？｣



｢そうけど……、おじさんはオレらのボスだ。社長だ、社長｣




社長！
え、すごくラフな喋り方だったけど……
というかsellyさんガッツリ働いてるのか

sellyさんっていくつ？私と同い年ぐらいだと思ってたんだけど




となると…仕事がある日は私、1人ってことか





｢一週間いていいって｣



｢社長さんが？｣



｢はいはい｣



｢それは良かったです。改めましてよろしくお願いします｣



｢そればっかりね｣

1-4→←1-2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す