婚約者を幸せにしたい。【まふまふ】

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コンコンコンっとお茶を飲んでいる時に小さくノック音がした


流れるようにミラが扉に近づき、少し開けた隙間から部屋を出ていく




太陽の位置的にそろそろ挨拶の時間だ
多分その知らせにでも来たのだろう



そう時間もかからないで、顔を華やかにさせたミラが戻ってきた




｢A様っ！私はとても誇らしいでございますよっ！｣



｢………とりあえず要件から話してちょうだい？ミラ｣





頬を紅潮させ、手を添えて恋する乙女のようだ
ミラは基本お堅い人なので、こんなことをするとは珍しい



アイラも何か良いことがあったに違いないと、隣でティーポットを持ったままソワソワとしている





｢迎えに来てくださったんですよ、まふまふ様が！
エスコートでございますよっ！｣



｢はぁ｣




｢なんでそんなに普通にしていられるのです！？エスコートでございますよ！？
婚約を考えている男女がそのような行動をとる意味がおわかりです！？｣




｢是非とも説明してください｣




｢アプローチですよ、アプローチっ！｣



｢そうですよ、姫様！しなくてもいい時にエスコートをして下さるというのは、それだけで好意の現れですよ｣





アイラも何故か加わって、あれやこれやと説明してくれる


けど、私からしたら粗が見つかりそうなのであまり長く一緒にいたくないのだ


ポロッと昔の言葉が出てしまったら怪しまれてしまう





そもそも、まふまふ様は私が好きだからじゃなくて国を思ってって話だったはずなんだけど……

だってまだ会ったのは1回だけだよ？それで好きとかそんな大きな感情抱ける？？無理でしょ


そんな理由のどこから、私への好意に繋がるのか





｢ということで、A様。予定は早いですが、今すぐに出ましょう
まふまふ様は下の階の応接間に待たれていらっしゃるようなので｣





｢分かった。分かったわ……頑張りますよぉ……｣

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