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前回は王の間的なところで会ったが、そこは儀式とか祭典の時にしか使われないんだそうだ
普段は自室にこもって執務をこなしているらしい
私は事前に教えてもらった行き方を頭の中で思い出しながら進む
……王様の部屋遠いのよね
そもそも建物が違う。
同じ城の敷地内でも王のいる本館と、汚い平民である私がいる別館はとても距離が空いているのだ
廊下で人とすれ違う度に珍しい顔をされながら頭を下げられ続け
道を間違えたか……と不安になってきた頃、ようやく着いた
「A様のみお通り下さい」
両端に立つ扉兵に棒をカンっと床に叩きつけられた
振り返ってミラとアイラの顔を見たけど、2人は下を向いていて伺うことは出来なかった
いちいち聞いてくるな。自分で考えろ。ということなのだろう
「いって参ります。」
「いってらっしゃいませ。」
一応報告的な感じで行ってきますを言ったら、2人揃って返事をくれた
ちょっと揃いすぎてて怖かったけど、うん、嬉しい。
門兵の横を通って扉の前まで行く
こういう場合は私が開けてもいいのかな……?
迷って手を出せずにいたら、内側から扉が開いた
どうやら開けなくて正解だったようだ
「失礼します。お呼びに応じてまいりました。A・アルデリーニです。」
もうだいぶ慣れてきたカーテシーをしてから部屋に入る
目の前に執務机があって、そこに王様が座っていた
机の上には山積みの紙や木版達
国を動かすっていうのは私の想像異常に大変なものらしい
横暴のイメージから少しだけ印象が好転する
「見れるようになったな。」
書き物がひと段落ついて顔を上げた王と目が合う
「ありがとうございます。」
王が席を離れて、小洒落たマナーテーブルに移動した
王の使用人が私の分の席も引いて待っているので、私も座れということだろう
王の真ん前の席に着くとお茶の用意が始まった
紅茶やらお菓子と、昔の私からしたら目からウロコの豪華食事だ
王が一口飲んで見せると、私も一口飲んだ
貴族社会では普通に毒殺とか有り得るから、準備した側の人が毒味の意味を込めて一口飲んだり食べたりするのだ
今回私はもてなされる側なので、それを待ってから口にしなくてはならない
普通に毒殺とか怖い……
「明日だな。各教師からAの出来は聞いている。何とかなりそうか」
「努力はしてまいります。」
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パール(プロフ) - イムム・ルリクリルさん» あ、ありがとうございます。長いですがお付き合いいただけると私が嬉しいです笑。ルビは完全にやらかしです。教えていただきありがとうございます(泣) (2021年4月2日 16時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
イムム・ルリクリル - おすすめに出てきたので、読んでみたら、神作品でした!(真顔)まだ、読み終わってないですが、すごく面白いです!あ、えっとそれでページ15の上から21行目(?)のRubyって、ちゃんとrubyなっていないのは僕のところだけでしょうか…?間違いだったらすみません (2021年3月31日 18時) (レス) id: 22463df6e5 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 乃々夏さん» はじめまして、おはようございます。しょ、書籍化!?そんなですか!?ありがとうございます笑 歌い手様たちの特徴を捕えるのに必死です笑 (2021年1月8日 9時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - はじめまして!!!!なんか好きです←は? 書籍化してほしいレベルです!!!!はぁ…志麻さんのちゃんづけヤバい////(志麻リス) (2021年1月7日 22時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 鼎さん» 自分の性癖をぶち込んでいこうと思います笑 (2020年12月24日 7時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
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