婚約者を幸せにしたい。【まふまふ】

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｢いいですか、A様。くれぐれも粗相のないよう。
特に口使いにお気をつけください。失礼ながら、とても言葉が荒いのです｣



｢わ、分かりました。｣






どこまでも続きそうな廊下を歩く

しかも何故か私を先頭にして




どうやら使用人は前に歩いてはいけないんだそうだ

すんごいめんどくさいけど、後ろから女中さんが右です。とか上です。とか指示を出してくれている



だったら普通に道案内してくれよって私は思うんだけど、色々めんどくさい決まり事があるようだ





｢こちらでございます。｣



｢はい｣


｢お、お待ちをっ！！｣





パシンっとかわいた音がして、気付いた時には扉に伸びていた私の手が下に落ちていた

今まで彼女たちからは危害を加えられたことがなかったので、びっくりした




な、何があったの




女中たちも驚いた顔をして、私に深々と頭を下げた




｢不躾を申し訳ございません。こちらの伝達不足でございます。

A様は扉を開けてはなりません。扉を開くのは私共の役目でございますので、どうか……どうか……何もなさらぬようお願いします｣



｢わ、分かりました、何もしないで立ってます。｣





極端な話だけど、私には何がダメで何をしなくちゃいけないのかわからない



だって自分でドアを開くことなんて、今まで当たり前にやってきたことなんだから
何故それをしてはいけないの？

理由も分からなければ、ただ頷くだけで不満はいっぱいだ


女中たちも微妙な顔で見合わせたあと、意を決したようにそれでよろしくお願い致します。と頭を下げてきた





｢では、開けます｣




女中たちが2人がかりで左右の扉を開いた

観音開きで開いた扉の先に私は絶句した






………綺麗だ。

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