他の誰かより悲しい恋をしただけ

戸惑う心 ページ14

昔の事を思い出したり、ボーッとしていると
日は暮れていた。









夕日が沈んでいくのがよく見える。









それと同時に月がいっそう輝き
街は電気でキラキラ輝いていた。










「そろそろ帰ろっかな…」







1人でそう呟いた。









でも、携帯を見て気が付いた。









「帰られへんやんか…」









帰ってくるなという母からのメールを思い出した。









このままメールを無視して家に帰る？








そして殴られる？







そのまま殺してもらう？









そうすれば残酷なこの世界とお別れできる？









「はぁ…」








もう分からんわ。








ベンチから立ち上がった。









どうせ寝るなら家で寝たいし、
殺されるならもうそれでいい。









私は丘を降りていった。









家に帰るまでに通るネオン街。









キャバ嬢やホスト






酔っ払いのおじさん







ヤンキーがうろちょろしてる。









その中の人ごみをかき分けて
奥へ奥へと進む。
















?「やめてくださいっ…！」








男「ええやんかぁ！」








複数の男達に女の子が絡まれてるらしい。









まぁ私には関係ない。









いつもの事やんか。









こんな所に来ればこうなる事くらい分かるのに。









アホらしい。








いつものようにチラッとその現場を横目で見て
通り過ぎようとしたけど出来なかった。








だって、絡まれていたのは
石野 春奈ちゃんだったから。









私は立ち止まった。








え、やばいやん。








春奈ちゃんの力じゃこの男達の力にかなうはずない。

















…って、べつにいつものように無視すればええやんか…。









なんで私は今、助けないとって思ったんやろ。









だって春奈ちゃんは恋敵やんか。









このままこの男達に連れてかれて
汚れた子になってしまえばええやんか。









自分の手を汚さずに相手を落とすチャンスやんか。








このまま不幸な目にあえばいいって…。















春「嫌っ！誰か助けてくださいっ！！」









男「誰も来ないって笑」























……あかん。








この世界で不幸な人間は私だけでいい。









私は拳を握りしめた。

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