イケメンの胃袋を掴んだ話【青】

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いつも通り起きて準備をする。ただお弁当箱が２つあるのはいつも通りではない。藤井くん、卵焼きは甘いのとしょっぱいのどっち派やろうか。案外だし巻き派かもしれない。


　迷っている時間ももったいない。今日はだし巻きの気分やしだし巻きにしてしまおう。前日に用意してたハンバーグのタネを焼き、ブロッコリーをオーブンで温める。彩を気にしながら弁当を詰めていく。あ、昨日のチキン南蛮も入れちゃお。キッチンに並ぶ２つのお弁当箱。もちろん中身は同じわけで。


　抗菌シートを入れて、お弁当を包む。朝ごはんを軽く食べてメイクをして出社の準備をする。今日一日のスケジュールを整理してればスマホが震えた。まだ6時50分。


藤井おはようございます

藤井もう出てもいいですか?

A大丈夫です


　つい敬語になりながら返信を送る。返信を送ればインターホンが鳴る。ギョッとして慌てて出ればスーツに着替えた藤井くんがいる。


青「おはようございます、んふ、楽しみで早く起きちゃいました」
『ごめんね、朝の30分は貴重やのに』


　はい、とお弁当を渡せばそこから動こうとしない藤井くん。不思議に思い藤井くんを見つめてしまう。


青「…？？あれ、そろそろ家出る時間ですよね？」
『うん、そうやけど。藤井くんは一旦家帰らんの？』
青「え、Aさんと一緒に出社するつもりでした。…迷惑でしたか？」
『迷惑ではないよ、カバンとってくるね』
青「待ってますね」


　何これ何これ？！出るようにしますって藤井くんも一緒に行くって意味なの？私の出るタイミングに合わせてお弁当を受け取るだけかと思っていた。慌ててカバンを取り、家を出る。


青「ふふ、行きましょ」
『…せやね』


　鍵を掛けて2人並んで駅まで向かう。1人での道の横に人がいるのは不思議で不思議で。でも嫌やなくて。むしろ心地いいというか…。って私は何を思っとるんや。

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