君は少しも悪くない ☆2 ページ15
最初から分かってたし。知ってたし。
そんなに人に執着しないタイプだって。
私もそんなに、いつ何時でも好きな人と一緒にいたいって感じではないハズなのに。
でも、この人のあまりの執着の無さに不安になる。
本当に私のこと好き？
私に会いたいって思ってる？
・・・・・私じゃなくてもいいんじゃないかな。
しょうもない考えが蔓延するのは早い。あっという間に蝕まれる。
分かってるんだけど。
優しいから。
お互いのテリトリーを大事にしたいから。
執着することで相手を傷つけるのがイヤだから。
自分が傷つくのがイヤだから。
そう思ってるからって。
分かってるんだけど。
空を見続けてる和也の横顔をぼんやりと見ていたら、彼の左手が私の肩に回った。
視線が合う。
でも、その目が何て言ってるのか分からない。
多分、彼の方も私が何を想ってるのか分かってない。
きっと私が不安そうな顔をしたんだと思う。
『どうかした？』
そんな目をして、肩に回した手で顎を少し持ち上げて。
優しくキスされた。
唇は離れ、右口角を少し上げて和也はまた笑みを浮かべた。
キミはいつでも優しい。
キミは少しも悪くない。
分かってる。
肩に回された腕が、また決断を鈍らせる。
どうしたらいいのか分からなくなって、また空を見上げる。
雨はまだ止まない。
君は少しも悪くない・完
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作者名：羊羽
| 作成日時：2015年1月9日 10時
