萩原妹は降谷さんに染められる

４８ ページ48

ガチャ、っと後方で音がして松田は振り返ると

そこには先程の覆面がこちらに拳銃を向けて立っていた。

やはり爆弾のところに戻ってきたのだ。

松田は眉を寄せる。


「おい、楽しい楽しい解体の時間を邪魔すんじゃねーぞ！」


思わずそう叫べば、覆面が発砲してきた。

真正面からそれを受けようとすれば伊達が目の前に飛び込んできた。

壊れた車のドアを持ち、盾にして発砲から松田を守る。

諸伏が覆面を蹴り上げると、覆面が持っていた拳銃が宙に舞った。

すかさず諸伏がそれを奪い覆面に構える。


「丸腰で犯人に凄んでんじゃねぇぞ、松田！」

「ゼロは無事！？」


二人の慌てた声がすると、後ろから降谷が現れる。


覆面は爆弾を取り戻しに来たのだろうが、状況が不利だと判断したのか、部屋を飛び出した。

すかさずその後を諸伏と伊達が追うが、覆面は非常階段から飛び出した。

手からはワイヤーが飛び出し、それが建物に引っかかると、覆面は数メートルはある向かいのビルに飛び移る。

後を追って勢い余った諸伏が飛び出しそうになるところを、伊達がすんでのところで掴んだ。


「班長、ヒロ、避けろ！」


その声に二人が振り返ると、拳銃を構え鋭い動向の降谷がいた。


「ーー逃がさないよ」


二人の隙間を降谷が放つ弾丸がすり抜けていく。

その弾丸がワイヤーを打ち抜いた。

しかし隣のビルに飛び移ることの阻止にはならず、バランスを崩しながらも覆面は着地して行った。


「っ班長！頼む！」

「おいおい、マジかよっ！」


伊達が振り向けば、ジャケットを脱いだ降谷が飛び込んでくる。

咄嗟に手を出した伊達の威力を借りて降谷は隣のビルに転がるように飛び移った。


「班長！まだ仲間がいるかもしれない。松田を頼む！」


覆面が階段を駆け上がるのを降谷が追いかける。

しかし覆面の動きは尋常でなく手練れなのが分かる。

諸伏は降谷に加勢することに決め、伊達は松田の元へ戻った。


降谷が屋上にたどり着くとそこに覆面の姿はない。

建物の角から前方を伺っていると、後ろから気配がしたので振り返り、拳銃を構える。


しかしーーー


「手榴弾！？」


投げ出されたのは手榴弾だった。

慌てて手を出して手榴弾を空中に投げた。

しかし近距離での爆破の威力は降谷を壁へ打ちつけた。


破壊されたコンクリートがパラパラと崩れる音がする。

起き上がれない降谷へ覆面は拳銃を構えた。


ーー撃たれる、そう思った時、パァンと銃声がその場に響いた。

４９→←４７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す