探偵事務所ｰHit the floorｰ (ページ6)

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探偵事務所ページ6

必死になって運動、勉強をしてきたカズナリだったが、高校３年生の時にやっと現実を目の当たりにする。

それは、警察学校の見学に行った時だ。

カリキュラムを知り、健常者でもキツいこの過程を、難病を患っている俺がこなせるのだろうかと、大きな不安を覚える。

最初は、頑張ればなんとかなるだろうって、自分自身にフィルターをかけてたけど、そうしてるのにも疲れ、諦めることに。

病気の研究と引き換えに、ここに住ませてもらってる俺。

元気な時でも健康観察を怠らない担当医の高橋先生は、ネブライザーをもって、毎晩同じ時間に来る。

｢何かあった？｣

横向きに寝て、高橋先生に背を背けるような体勢になる。

いつも通り、脇腹にタオルを置き、程よい強さでタッピングしてく先生。

痰が出しやすくなり、少しの刺激で咳が出る。

｢なんでも、、、けほげほっげほっ、、なんでもないよ。｣

優しく聞いてきた彼に素っ気なく返事をし、咳き込むのを我慢する。

仰向けになり、胸のタッピング。

先生が胸に力をかけるタイミングで、強く息を吐き、ゼーゼーと胸を鳴らせながら、痰を上へ上へと出す。

それが終わると、サッと紙コップを渡してくれて、それに痰を出す。

何年も続けてる行為だけど、その苦しさにはまだ慣れなくて、正直辛い。

それは、胸の苦しさだけじゃなくて、このハゲ頭のおじさん先生に介抱させてることだ。