探偵事務所ｰHit the floorｰ (ページ26)

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卒業式ページ26

｢第9735号二宮和也｣

さっむい体育館で卒業式。

大きいヒーターのブォーという音で周りの音が小さくなる。

そして殻に篭ったみたいになる。

その殻の中で思い出を振り返る。

もう、学生ではなくなるんだな。

優しくしてくれたクラスメイトや、つい最近出会った事務所の人たちの顔が走馬灯のように浮かんでは消えた。

その隅に、あの日の病院での出来事がある。

それはそれは頑固な記憶で、こびりついて取れない。

あまりにも残酷すぎた両親の死。

今日、俺はここを卒業し、両親を殺したやつへの復讐劇を始める。

｢二宮、元気でな、、ほら、飴舐めとけ｣

｢二宮くん、私、看護師になるの。だから、困ったことあったら連絡してきてね！｣

お別れの言葉を交わし、玄関に出る。

そこには大勢の親子。

涙を流しながら子供の卒業を祝福してる親もいれば、笑顔で写真を撮ってる親子も。

さっきまで話してたやつらも、優しく迎え入れてくれる親の元へ、吸い込まれるように飛んでいく。

玄関にぽつんとひとり立っている俺。

可哀想な目で見られるのなんて慣れっこ。

なにかしていないと落ち着かなくて、証書を丸めて筒の中にぶっ込んだ。